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ファイルサーバーとは?導入のメリットからクラウド化のポイントまで徹底解説

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目次

企業活動において、日々作成・更新される膨大なデジタルデータをいかに効率よく、そして安全に管理・共有するかは、事業の生産性を左右する重要な課題です。その解決策の中心となるのが「ファイルサーバー」の存在です。ファイルサーバーを導入することで、社内の情報を一元管理し、チームでの共同作業を円滑に進めることができます。

この記事では、ファイルサーバーの基本的な役割から、混同されがちなNASとの違い、そして自社に最適なサーバーを選ぶためのポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。ファイル管理の効率化やセキュリティ強化を検討している方は、ぜひご一読ください。

ファイルサーバーとは?

ファイルサーバーは、ネットワークに接続されたコンピューターで、ファイルの保管と共有に特化した役割を担います。 従業員は自分のコンピューターからネットワークを介してファイルサーバーにアクセスし、ファイルの保存、閲覧、編集、削除などを行います。
これにより、社内のデータを一元的に管理し、必要な人がいつでも最新の情報にアクセスできる環境を構築します。

複数人でファイルを安全に共有する仕組み

ファイルサーバーの最も基本的な役割は、複数のユーザー間でのファイル共有を可能にすることです。
例えば、あるプロジェクトチームが共有の資料やデータを使用する場合、ファイルサーバー上に専用のフォルダを作成し、そこにファイルを保管します。チームメンバーは誰でもそのフォルダにアクセスして、必要なファイルを閲覧したり、自分の作業内容を反映させたりできます。

USBメモリでデータを手渡ししたり、メールにファイルを添付して送信したりする手間がなくなり、業務の効率が大幅に向上します。また、誰がどのファイルにアクセスできるかを細かく設定できるため、部署や役職に応じた情報管理が可能になり、セキュリティの強化にもつながります。

ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーとよく比較されるものに「NAS(Network Attached Storage)」があります。NASもネットワークに接続してファイルを共有するという点では同じですが、その性質には違いがあります。

ファイルサーバーは、サーバー用のコンピューターにOS(Operating System)やソフトウェアをインストールして構築するため、ファイル共有以外の機能を追加できるなど、カスタマイズ性が高いのが特徴です。一方、NASはファイル共有機能に特化した専用機であり、比較的安価で設定も簡単なため、手軽に導入できるのがメリットです。

項目ファイルサーバーNAS (Network Attached Storage)
定義ファイル共有機能を持つサーバー用コンピューターネットワークに接続できるHDD
カスタマイズ性高い(他の機能も追加可能)低い(ファイル共有が主目的)
導入・設定専門的な知識が必要比較的容易
コスト比較的高価比較的安価
主な用途企業での大規模なファイル共有、詳細なアクセス管理小規模オフィスや家庭での手軽なファイル共有

近年ファイルサーバーのニーズが高まっている理由

近年、ファイルサーバーのニーズが高まっている背景には、社会全体の急激なデジタルデータの増加があります。企業においては、増え続けるデータを安全かつ効率的に管理することが重要な課題となっており、ファイルサーバーがこの要求に応える重要な役割を果たしています。

ファイルサーバーを活用することで、中央でデータを管理し、アクセス制御やデータ共有を容易に行うことが可能となり、業務の効率化と情報の整合性の維持が実現します。 さらに、新型コロナウイルスの影響で多くの企業がリモートワークを導入したことから、場所を選ばないアクセスが可能なクラウド型ファイルサーバーへの需要を加速させました。 このようにして、ファイルサーバーは企業が直面する新しい働き方やセキュリティの課題に対応するための解決策として注目されています。

ファイルサーバーの主な種類

ファイルサーバーは、その設置形態によって大きく「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社の規模や目的に合ったタイプを選ぶことが重要です。

オンプレミス型

オンプレミス型ファイルサーバーは、企業が自社の物理的な場所にサーバー機器を設置し、自己管理・自己運用を行うシステムです。
このシステムの大きな利点は、データ管理とセキュリティが企業の完全な管理下にある点にあります。物理的なアクセスが可能であるため、カスタマイズとコントロールの自由度が高く、特定の規制や業界基準に準拠する必要がある場合に特に適しています。 しかし、このモデルでは初期投資と継続的なメンテナンス、さらには専門的なITスタッフの維持に費用がかかることが課題です。

クラウド型

一方で、クラウド型ファイルサーバーはインターネットを通じてリモートのデータセンターにデータを保存・アクセスするシステムで、柔軟性とスケーラビリティが最大のメリットです。 使用するリソースに応じたコスト変動が可能で、ビジネスの成長や需要の変動に応じて容量を迅速に調整できるため、動的なビジネス環境に適しています。
クラウドサービスは専門的なITスキルが不足していても利用でき、運用の手間を大幅に削減できます。しかし、インターネットへの依存度が高く、セキュリティやプライバシー保護はサービス提供者のポリシーに左右される点が潜在的なリスクです。

ファイルサーバーを導入するメリット

ファイルサーバーを導入することで、データの管理と共有に関する多くの課題を解決し、ビジネスに様々な好影響をもたらします。ここでは、ファイルサーバーが提供する主な4つのメリットについて詳しく解説します。

ファイル共有がスムーズに行えるようになる

ファイルサーバーを導入すると、社内ネットワークまたはクラウドを通じて「どの端末からでも一元化されたデータにアクセスできる」環境が整います。
これによって、作業メンバーが同じフォルダ・同じファイルを参照・編集することで、データの取り違えや古いバージョンを使ってしまうリスクを低減し、プロジェクト進行を円滑にできるのがメリットです。 また、検索性や管理性が優れるため、必要なファイルを探し出す時間も短縮できます。

詳細なアクセス権限でセキュリティを強化

ファイルが個々のパソコンや外付け記憶装置に散らばっていると、誰がどのデータを持っているのか把握しにくく、紛失や情報漏えいのリスクが高まります。
ファイルサーバーでは、「どのユーザー・どのグループが、どのフォルダへアクセスできるか」を詳細に設定することが可能です。例えば、部門別・役職別に閲覧/編集/削除などの権限を分けることで、不要なアクセスや誤操作を防止できます。
さらに、アクセスログの取得や使用履歴の確認など、管理・監査の観点からも優れており、社内統制や情報ガバナンスの観点からも導入価値があります。

バックアップ・冗長化の仕組みを整備できる

端末(パソコン・タブレット・スマートフォン)にデータが保存されている場合、端末故障・紛失・ウイルス感染などによってデータ復旧が困難になることがあります。
ファイルサーバーは、データを集中して保存し、定期的にバックアップを取ったり、RAIDなどの冗長構成を採ったりと、データ保全性を高める設計が可能です。
その結果、万一の障害発生時にもデータを復元しやすく、事業継続(BCP)や災害対策の一環としても有効と言えます。

容量拡張・運用管理の柔軟性が高い

ストレージが不足すると、データ保存先を増設したり、無駄なデータを削除したりと手間がかかります。 ファイルサーバーを導入すると、オンプレミス型ではハードウェアを増設、クラウド型では契約プランを変更するなど、保存容量の拡張が比較的容易です。
また、集中管理により、ストレージ使用状況の把握や不要データの整理がしやすくなり、運用コスト抑制にも寄与します。

ファイルサーバー導入時のデメリット

多くのメリットがある一方で、ファイルサーバーの導入には考慮すべきデメリットも存在します。
特にコスト面と運用面での課題を事前に把握しておくことが、導入後のスムーズな活用につながります。

導入と運用にコストが発生

ファイルサーバーを導入するには、当然ながらコストがかかります。オンプレミス型の場合は、サーバー本体やOS、関連ソフトウェアの購入費用といった初期投資が必要です。
加えて、サーバーを稼働させるための電気代や、故障時に備えた保守費用などのランニングコストも発生します。クラウド型の場合は初期費用を抑えられますが、利用する容量やユーザー数に応じた月額料金が継続的にかかります。どちらのタイプを選ぶにせよ、長期的な視点でコストを試算することが重要です。

構築や設定に専門知識が必要

ファイルサーバー、特にオンプレミス型の導入には、サーバー構築やネットワークに関する専門的な知識が不可欠です。
サーバーの選定からOSのインストール、各種設定、セキュリティ対策、そして日々の運用・保守まで、対応すべき項目は多岐にわたります。社内に専門のIT担当者がいない場合、これらの作業を外部の業者に委託する必要があり、その分の費用も考慮しなければなりません。

クラウド型は構築の手間が少ないものの、適切なサービスを選定し、自社の要件に合わせて設定を行うためには、ある程度の知識が求められます。

サーバー障害のリスクがある

ファイルサーバーは組織の情報共有の要であるため、ハードウェアの故障やシステムトラブルによってサーバーが停止すると、業務全体に深刻な影響が及びます。このようなリスクに備え、機器の冗長化や定期的なバックアップ、迅速な復旧体制の構築といった対策が不可欠です。

ファイルサーバーのクラウド化という選択肢

近年、従来のオンプレミス型ファイルサーバーに代わり、クラウドストレージサービスを利用してファイルサーバーを「クラウド化」する企業が増えています。これは、運用負荷の軽減や多様な働き方への対応といった現代的な課題に対する有効な解決策となります。

ファイルサーバーをクラウド化するメリットとデメリット

ファイルサーバーのクラウド化は、企業の情報管理プロセスに多くのメリットをもたらします。しかし、注意すべきデメリットがないわけではありません。安全で効率的にファイルサーバーをクラウド化するためには、そのメリットとデメリットを総合的に理解し、企業のニーズに合わせた適切な導入計画を策定することが重要です。 以下で、ファイルサーバーをクラウド化するメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

ファイルサーバーをクラウド化するメリットは?

オンプレミスの社内ファイルサーバーの代替として、SaaSのファイルサーバーを導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。クラウド化で得られる代表的なメリットを4つ紹介します。

➀クラウド化は導入および運用のコスト、導入リードタイムを抑えられる

ファイルサーバーのクラウド化の最も大きなメリットは、導入と運用にかかるコストを抑えられることです。導入にあたって初期費用がかからないクラウドストレージサービスも多く、月額または年額費用の負担のみで常に最新のサーバ環境でストレージ機能を利用できるのが魅力です。

導入時は物理ハードウェアや管理用ソフトウェア、バックアップソフトウェア等の調達業務、調達費用は不要となり、あくまでサービスの利用につき、管理者側もクラウドストレージのユーザー割り当て等するだけで、その他の構築作業は必要ありません。

従来、オンプレミス環境の構築やリプレースに費やしていた時間も他の業務にシフトすることが可能です。 クラウドファイルサーバーの料金形態は、「定額制」と「重量課金制」の2種類が一般的です。

➀定額制固定金額を支払う
➁従量課金制必要なユーザー数やストレージ容量に応じて課金

予算や経営の観点からは定額制の方が見通しを立てやすいというメリットもありますが、容量無制限のプランでは利用頻度に関わらず1ユーザーあたりの単価が高くなりがちという面があります。利用用途やユーザーの業務に合わせてサービスを選択する事がポイントです。

また、定額制のサービスにおいてユーザー数が無制限のサービスプランを提供しているベンダーもあります。その場合はストレージ容量を追加する際の単価も忘れずに確認をしましょう。

このほか、高精細な動画や画像を主に扱う業務や、IoT関連の大容量データ分析のためのデータレイク用途など、大容量のストレージ環境が必要な場合により高コストパフォーマンスで利用できるサービスなど、いずれにしても自社の利用用途に最適なプランをまずはベンダーに相談してみましょう。

➁ファイルサーバーのクラウド化ならリモートワークにも対応できる

近年は特に、ワークスタイルやビジネス環境の変化によってオフィス以外で勤務する「リモートワーク制度」や「テレワーク制度」を導入する企業が増えています。
そういった制度の導入が急速に進む中で、社外からVPN経由で従来のオンプレミスファイルサーバーにアクセスする際にネットワーク帯域が不足し、業務が滞ったというケースも少なくはありません。

ファイルサーバーをクラウド化して利用する場合、インターネット接続さえ確保できれば、場所を選ばずに必要なファイルやデータにアクセスでき、社外で働く社員が多い企業や、社内ネットワークが使えない環境でもファイル共有をする業務が頻繁に発生する組織に適したサービスといえます。

また、クラウドファイルサーバーの機能は様々で、サービスによっては必要なメンバー間で「ファイル共有」したり「ファイルの共同編集」をしたりといった使い方ができるものもあります。クラウドファイルサーバーの「ファイル共有」機能の多くは、メールに添付して都度ファイルを送受信するよりも効率的かつセキュリティの面でも安全と言えます。

サービスによっては、万が一ファイルを誤送信した場合の「共有停止」機能が備わっていたり、ファイル共有をする際の上長承認を必須にしたりといったことも可能です。
こういった機能に代表される、オンプレミスのファイルサーバーではシステム化しきれなかった運用が、クラウドファイルサーバーを利用する大きなメリットの一つと言えるでしょう。

➂ファイルサーバーの運用保守はクラウド化だからベンダーに一任できる

ファイルサーバーをクラウド化した場合は、自社で運用保守をする必要はありません。
ソフトウェアや機能のアップデートを含めてベンダーにすべて任せられるのは非常に大きなメリットです。
一般的に、ファイルサーバーは業種や業界を問わずに必要かつ業務への影響も大きいミッションクリティカルなシステムではあるものの、その運用自体は汎用的な業務でもあります。だからこそベンダーに委託できる範囲は大きく、クラウドファイルサーバーを活用することで自社のITリソースをより戦略的なDX関連業務などに振り向け、組織の変革を推進できるようになります。

また、SaaSの基盤であるハードウェア等に障害やトラブルが起こった際にも、サービス自体は冗長構成によって可用性が保証されており、且つ有事における復旧作業自体は当然ベンダーが対応するため、自社内にファイルサーバーの運用知識をもつ社員がいなくても安心して導入することが可能です。

大企業はもちろん、ITリソースに余裕がない中小企業やスタートアップ企業であっても、費用のみだけではなく、社員のリソースや負荷を抑えて導入、利用できることがファイルサーバーのクラウド化のポイントです。

➃災害発生時のリスクヘッジ・BCP対策としてもクラウド化は有効

ファイルサーバーをクラウド化した場合は、災害発生時におけるファイルサーバー内のデータ破損・消失のリスクを最小限に抑えられます。
ベンダーがサービスの基盤として利用しているデータセンターは地震・水害・火災などのあらゆる災害を想定した堅牢な構造となっており、それらの多くはデータセンター内だけでなく、複数データセンター間で冗長化を図ることで、サービスの停止や復旧の遅れといったリスクをコントロールしています。

また、自社が火事や浸水などの災害でダメージを受けた場合も、遠隔地にあるデータセンターは被害を受けず運営できる点もクラウド化のメリットです。オンプレミスのファイルサーバーは自社内に物理マシンを設置するため、被災するとデータそのものも破損してしまう事となります。

さらにバックアップデータに影響がなかった場合も、リストア作業や復旧までの間の業務への影響は甚大です。また、最終バックアップのタイミングから災害発生時までに更新されたファイルのリカバリーができないという課題への対処も必要となってくる等、一度トラブルが発生すると場合によっては他業務の継続が難しくなる可能性もでてきてしまうのです。

その点、ファイルサーバーをクラウド化している場合は、万が一自社オフィスが被災してもインターネット回線さえ復旧すればファイルストレージへアクセスできるため、業務再開が迅速かつ容易になります。ファイルサーバーのクラウド化は、事業継続の観点でも非常にメリットがあるといえます。

⑤アップデートやメンテナンスの際の情シスの運用工数を削減できる

クラウドサービスを利用することで、IT部門の負担が大幅に軽減されます。従来のオンプレミス環境では、サーバーのアップデートやセキュリティパッチの適用、ハードウェアの故障対応など、日々のメンテナンス作業が専門スタッフによって手作業で行われる必要がありました。
しかし、クラウドサービスの場合、これらの作業はサービスプロバイダーによって行われるため、情報システム部門はより戦略的な業務に集中することが可能になります。

⑥ファイル共有の利便性が高まる

クラウド化されたファイルサーバーは、地理的な制限を受けずにデータへのアクセスができます。
従業員がオフィスにいない場合やリモートワークをしている場合でも、インターネットがあればどこからでもファイルにアクセスでき、共有が容易に行えます。
この柔軟性は、チームの協働を促進し、プロジェクトの進行速度を向上させるため、特に分散しているチームや複数の地域に拠点を持つ企業にとって大きな利点となります。

また、クラウドサービスには、ファイルのバージョン管理やアクセス権限の設定など、高度な管理機能が備わっており、これによりファイルの整理と保護がさらに向上します。

ファイルサーバーをクラウド化するデメリットとその対策は?

ファイルサーバーをクラウド化する際のデメリットを把握することは、より自社にフィットするサービスの比較につながります。 ここでは代表的なデメリットとその対策を4つ紹介します。

➀ユーザーの通信環境に影響を受けやすい

ファイルサーバーのクラウド化にまつわるリスクとしては、通信状況によってファイルサーバーを利用できなくなる場合がある点です。
例えば、Wi-Fiやルーターなどインターネットに関連するトラブルの発生や災害があると、クラウド上のデータにアクセスできなくなってしまいます。ネットワーク環境を含めたクラウドサービスが復旧するまでの間は、クラウド環境に保存しているデータを利用できないため、結果的に業務に支障が出てしまうというものです。

一部のクラウドファイルサーバーではそういったトラブル時の対策として、キャッシュ機能を活用しオフラインでもファイルの参照や編集を継続可能なものがあります。
例えば、出張時の移動中やリモートワーク等の通信状況が悪い環境下で業務を継続する必要がある際には、このような機能は非常に有効です。サービスを比較する際にはオフライン時でのファイル利用可否も確認しておくとよいでしょう。

➁クラウドサービスの機能はパッケージ化され、カスタマイズ性が低い

クラウドファイルサーバーのインフラやシステム機能はベンダーがサービスとして提供しているため、ファイルサーバーに必要な標準的機能を短期間で整備できる利点がある一方で、自社の業務に合わせた機能カスタマイズは難しくなります。
サービスによっては、オプションで機能追加できるものもあるため、自社の利用用途や現場のニーズをもとに機能要件を明確にし、スムーズに導入を進めましょう。

なお、ここではあえてデメリットとして記載しましたが、従来であれば運用に合わせて費用をかけてカスタマイズをしていたオンプレミスの発想から、自社の業務やニーズに沿うサービスを正しく比較することで、使いやすく汎用化された機能をあますことなく活用し、サービスのバージョンアップや時代に合わせた新しい機能を活用することができる点は、クラウドのメリットを最大限享受しているとも言えるでしょう。

➂ファイルサーバーをクラウド化することで従来環境の管理・運用方法を変える必要がある

ファイルサーバーをクラウド化する際に運用方法への影響が大きいポイントのひとつはアクセス権限設定に関する操作や管理でしょう。クラウドファイルサーバーのサービスによっては、アクセス権限が上位の特定フォルダ階層にしか設定できず、深いフォルダ階層では個別のアクセス権限のコントロールができないものもあります。
このようなサービス仕様の特徴として、ファイルサーバーのがフラットな構造になることが挙げられ、従来のファイルサーバー運用では可能だった、直感的でわかりやすい情報共有が困難になる場合があります。

一方で、オンプレミスのファイルサーバーやNAS運用を継承しやすい設計をコンセプトにしているサービスもあります。日本の企業では組織別のフォルダ構成を階層的に作り、役職や業務ごとにアクセス権限を設定しているケースが多く、この運用を再現できるサービスを選ぶことは特に「法人内ファイルサーバーのクラウド化」という観点では重要でしょう。

➃情報資産の保管場所としてのカントリーリスクが懸念される

ファイルサーバーをSaaSでクラウド化した場合、何らかの理由でサービスが終息するなど、継続利用に影響が出る可能性も否定できません。これらのリスクを最小にするために、サービス比較時にはベンダーの実績や信頼性のほか、サービス基盤や通信が海外の法規制下で管理されたり、海外含む外部に開発や運用保守を委託していたりする場合のカントリーリスク(※)も考慮しながら、検討をすすめるべきでしょう。

(※)特定の国の政治情勢や経済情勢の変化によりもたらされるネガティブな影響や、法令や当局による情報開示や差し押さえなどの恐れを「カントリーリスク」と表現しています。 クラウドサービスのカントリーリスクに関する記事でもこの点を詳しく紹介しています。

⑤月額利用料金がかかる

クラウドサービスは継続的なコストが発生する点もデメリットといえるでしょう。
特に大規模なデータを扱う企業の場合、データの量に応じた料金が発生し、長期にわたる利用ではかなりの費用が積み上がる可能性があります。

この問題に対処するための主な対策は、クラウドサービスプロバイダーを慎重に選定し、コストパフォーマンスが最適なプランを選択することです。 また、不要なリソースは削減し、データ管理を効率化することで、必要なストレージ量を抑える努力が必要です。定期的な監査を行い、使用していないリソースが課金されていないか、常にチェックすることも重要です。

⑥セキュリティ確保への設定や運用には注意する必要がある

クラウドサービスでは、データが外部のサーバーに保存されるため、セキュリティの問題が懸念されます。 データ漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑えるためには、サービスプロバイダーが提供するセキュリティ対策を正確に理解し、必要な設定変更や追加のセキュリティ層を適用することが必須です。

エンドポイントのセキュリティ強化、暗号化技術の利用、アクセス管理の厳格化など、多層的なセキュリティ対策を施すことが重要です。 また、従業員に対するセキュリティ意識の向上と定期的な教育を実施することも、セキュリティ確保には欠かせません。

法人がファイルサーバーをクラウド化する際のサービスの選び方

ファイルサーバーをクラウド化する際に、特に法人として確認しておきたいポイントは、以下の7点でしょう。

ストレージ容量/追加容量各ベンダーのサービスによって、利用できるストレージ容量は異なります。既存ファイルサーバースペックや運用を考慮してサービスメニューを比較しましょう。
機能ファイルのアクセス権限設定、多様なファイル共有パターン等、サービスに実装されている機能もベンダーによって様々です。ストレスの無い操作性が実現できるかを含め、トライアルサービスで実際の使用感を確認するのがよいでしょう。
費用(初期・月額)ユーザー毎、データ容量毎、容量無制限など各ベンダーのサービス毎に課金の体系が異なります。また、初期費用の有無や、オプションによる追加費用の有無をチェックするようにしましょう。
セキュリティユーザー認証やアクセス権管理、通信およびデータの暗号化、監査証跡・詳細ログ。SSL対応やウイルスチェック等など、自社のセキュリティ要件に照らして必要な対策・機能が実装されているかを確認しましょう。
ユーザビリティ特別なトレーニングなしで直観的に操作できるか、操作ミスを防止しやすいユーザーインターフェースであるか、等を確認しましょう。Webからの操作だけでなく、Windowsのエクスプローラーからクラウドにアクセスできるアプリケーションを提供しているサービスもおすすめです。
サポート体制トラブルや障害発生時だけでなく、セットアップや導入後も想定して、サポート体制やサポート拠点、対応言語について事前に確認するようにしましょう。
データ移行オンプレミスのファイルサーバーやNASからのデータ移行が簡単に行えるサービスがおすすめです。専門知識がなくてもデータ移行ができる転送ツールを無料で提供しているサービスを選びましょう。

それぞれの項目に対し自社の要件を整理し、利用目的に合うサービスやメニューの比較をするようにしましょう。

法人がファイルサーバーをクラウド化する際に無料プランが最適ではない理由

クラウドファイルサーバー、クラウドストレージサービスはいくつものベンダーから提供されており、サービスメニューによっては無料で利用が可能なものも珍しくはありません。
個人単位では無料のクラウドファイルサーバーを利用した経験がある方は多く、非常に気軽に様々なデバイスから利用できることで広く普及していることは事実です。とはいえ、法人がファイルサーバーをクラウド化する場合は、無料サービスプランを避け有料版の導入を強くお勧めします。

その理由を3点ご紹介します。用途として、社内ファイルサーバーやNASの代替としてクラウドファイルサーバーの活用を検討するのであればなおのこと、以下は参考にしてみてください。

➀セキュリティ対策の機能が自社の要件を満たさない

セキュリティ対策がどのようにサービスに実装されているかは必ず確認するべき点ですが、その他にも運用のしやすさや、意図せず情報漏洩につながるような操作をさせないシステムデザイン、詳細なアクセス権限設定が可能な点も重要なポイントとなります。
これらの面において無料サービスプランは、個人のプライベート用途であったりデータの保存期間に期限があったりするなど、法人の「ファイルサーバー」として一般的な業務に耐えられるものではないと考えるべきでしょう。

また、会社が管理しない無料クラウドストレージサービスを社員が許可なく業務利用することで、「シャドーIT」と呼ばれる未知のセキュリティリスクが発生します。そういったリスクの蔓延を防ぐ対策として、ユーザビリティに優れた有料クラウドファイルサーバー環境やセキュアな有料ファイル共有ツールを整備する必要があり、それらは必要コストといえるでしょう。

➁万が一のトラブル時にベンダーサポートを受けられない

万が一のトラブル時にベンダーサポートを受けらなかったり、対応が簡易的であったりする場合があります。そもそも自社のセキュリティ要件を満たさない仕様である等、気軽に利用できることと引き換えに組織としての統制は取りづらい点も有料版をおすすめする理由として挙げられます。

➂業務に必要な機能が不十分

無料のクラウドストレージサービスの多くは、アクセス権設定や、フォルダの閲覧権限の設定が非常に簡易的であったり、データ容量や保存期間、ログ機能にも制限があったりします。
そのため仮に法人がファイルストレージの一部として利用する場合や、ファイル共有のツールとして利用する場合、業務効率化とセキュリティ対策の観点で得られるものは多く無く、むしろリスク要素が大きいことを認識したうえで導入の判断する必要があります。

無料版との違いは、クラウドストレージの仕組みに関する記事でもご紹介しています。

ファイルサーバーをクラウド化する際の移行方法

ファイルサーバーをクラウド化するメリットや、サービス導入時に比較したいポイントも把握したうえで、実際の導入に向けて避けては通れないのが既存システムからの「データ移行作業」です。移行のパターン3つを次で具体的に確認しましょう。

➀自社でクラウドファイルサーバーに移行する

既存のファイルサーバーのシステムや運用、導入するクラウドファイルサーバーのサービス仕様を理解し、且つ社内のスキルや導入期間にも余裕がある場合は、自社体制のみでシステムをクラウドストレージ環境に移行することは不可能ではないでしょう。
初期費用がない場合は月額/年額の費用のみで利用開始ができ、ベンダーに対するキャッシュアウトを最小限にできるパターンです。ベンダーによっては、ユーザー企業自身での移行を支援する体制や、無料の移行ツールを用意している場合もありますので確認してみましょう。

➁クラウドファイルサーバーへの移行を外部へ委託する

クラウドサービスのベンダーや、サービス仕様をよく理解している販売パートナー等、社外に移行を委託するパターンです。プロジェクトの管理は必要ですが、自社内のリソースに余裕がない場合はこういった作業をベンダーに依頼することは可能です。ただし、機密データを取り扱う作業となるため、信頼できるベンダーと慎重にプロジェクトを進めることになります。

➂クラウドサービス側で提供される移行ツールを活用し、自社で移行する

クラウドストレージサービスの種類によっては、移行用のデータ転送ツールが無料または有料で提供されているサービスもあります。サービス側で用意されている移行ツールとしては、既存のシステムを止めずに段階的に移行できる仕組みや移行期間中の差分ファイルを更新できるものもあります。

専門知識がなくても簡単に操作できるツールを提供しているサービスもありますが、コマンドの記述が必要であったりサポートのレベルに応じて費用が変動したりと、ベンダーによって異なるため、自社の人的リソースや導入までの期間やコストも鑑みたうえで、移行方式と計画を策定しましょう。

ファイルサーバーのクラウド化ならFileforceがおすすめ

ファイルサーバーをクラウド化するファイルフォースのサービスイメージ

クラウドサービスとしてのメリットを最大限享受し、デメリットを感じさせない性能を兼ね備えたクラウドストレージサービスとしてFileforceは非常におすすめです。具体的な特徴として4点ご紹介します。

➀クラウドならではの圧倒的なコストパフォーマンスと充実した機能

従来のファイルサーバー同様の操作性は確保しつつ、ファイル保管やセキュアなファイル共有が実現でき、管理者によるアクセス権設定やフォルダ構成の作成もきめ細やかに設計が可能です。ユーザー数無制限プランを中心に、スモールスタートからエンタープライズ利用まで、幅広いニーズにお応えするサービスが揃っています。

➁クラウド化するからこそ高セキュアに。法人利用に必須のセキュリティ対策を実装

Fileforceは、ファイルサーバーの運用を最も継承しやすいクラウドストレージであることをコンセプトに開発された日本のサービスです。
フォルダやファイルへの詳細なアクセス権限設定機能や詳細な操作・アクセスログの保管により、情報漏洩対策やセキュリティインシデント発生時の対応を強力に支援します。通信時含めてファイルは暗号化され、また、ユーザー端末にデータが残らない非同期型のサービス設計で端末自体の紛失や盗難時の情報漏洩リスクも最小化できるサービスです。
設計開発もすべて日本国内の体制で手掛ける純国産サービスで、カントリーリスクへの対応も万全です。

➂無償データ転送ツールでスムーズなクラウド化とデータ移行をサポート

Fileforceは無償データ転送ツールを提供しています。既存のファイルサーバー・NASを運用しながらデータ移行が行えるほか、移行期間中の差分チェックと再転送機能もあるので 安心して作業を進めていただけます。またわかりやすいダッシュボード画面で移行の進捗を確認でき、業務に影響を与えずに大容量データも楽々移行が可能です。

➃ファイルサーバーのクラウド化と合わせて改正・電子帳簿保存法にも対応可能なオプションも

【参考】改正・電子帳簿保存法に対応したFileforce運用のイメージ

電子帳簿保存法に対応した運用の図

こちらのオプションについては電子帳簿保存法の対応の記事にてより詳しくご紹介しています。

2022年1月に施行される「改正・電子帳簿保存法」への対応も、Fileforceならスムーズに運用を始められます。詳細なログ証跡や厳格なアクセス管理等の標準機能に加え、「改正・電子帳簿保存法対応オプション(※)」でより効率的な帳簿書類の管理が実現します。

ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点

ファイルサーバーのシステムフローチャートを書いている手

ファイルサーバーの移行方法や体制が決まれば、以下の4点に注意しながら慎重に移行をすすめることになります。

➀移行後の運用が変更になる場合のマニュアル整備・移行スケジュールアナウンス

ファイルサーバーの移行に伴い、業務影響がある部署やメンバーに対しては、事前に移行スケジュールやツールのマニュアルを配布し、アナウンスをすることで移行後も運用がスムーズに定着するでしょう。
前提として、なるべくこれまでのファイルサーバーの運用を変えずにスムーズに新システムに移行できるサービスを選ぶことで、社内のトレーニングコストや情報システム部門の負担削減につながります。
ユーザーにとっても慣れた操作感であることは、システムの定着が容易であるとも言えます。

➁クラウド化の前にデータバックアップを取る

ファイルサーバー移行中の障害等、万が一の事態に備えてデータのバックアップや復旧の段取りを確認しておきましょう。

➂クラウド環境で移行するデータの優先順位付けをする

データのボリュームが大きい場合は移行にも時間がかかります。そのため、優先度の高いデータから効率的・段階的にデータを移行しましょう。
また、新環境に移行する前に、ファイルサーバーのデータ整理をしたり重複データは削除したりする等、この機会に一度棚卸しを行いフォルダやファイルの整理をした上で移行を行うことをお勧めします。

➃クラウドストレージへのデータ転送速度や進捗を監視

ファイルサーバーのデータをクラウドへ行こうする際、データボリュームやネットワーク帯域の制限により時間がかかったり、障害が発生してデータが破損したりする可能性がないわけではありません。
データボリュームの大きいのファイルを移行する際は、転送速度を確認しつつデータを分割したり、ネットワーク負荷に応じて転送量を調整したりすることで、移行を円滑に進められるでしょう。

移行するデータの容量が大きい場合には、移行に使用するネットワーク帯域の制限や転送進捗の確認方法等、ベンダーと相談しておくと安心です。

まとめ

この記事では、ファイルサーバーのクラウド化におけるAWSやAzureなどのIaaS活用とSaaS活用の違い、SaaS活用のメリットと、実際に法人がサービス導入を検討する際に知っておくべき、デメリットを作らないための注意点、サービス選定時の比較項目についても紹介してきました。

データボリュームの肥大化への対応やコスト低減など、社内ファイルサーバーの運用管理に関する課題の解決につながるクラウド化ですが、サービスの利用用途や導入目的、自社の使用方法に合わせて、わかりやすくストレスを感じない操作性はもちろんのこと、導入前から運用開始後まで、システム管理者の負担を削減しながら、安心して効率的な業務を行える機能があるかを確認、比較もしながら高品質なサービスを見極めていただければと思います。

導入をご検討中の方へ

ファイルフォースではユーザー無制限プランをはじめとし、ご利用目的や規模に合わせて最適なプランをご提案いたします。
ファイル管理に関するお悩みはぜひお気軽にお問い合わせをお待ちしています。

ご導入に関するご相談運用についてのご確認、他社との違い、デモのご要望など、お気軽にご相談ください。相談する
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