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NASの選び方は?比較ポイントやメリットを解説

公開日:
2024/04/05
最終更新日:
2024/04/05
目次

NASの選び方は?比較ポイントやメリットを解説

デジタル化が加速する現代において、データの保存や管理の方法がますます重要視されています。そうした中、データを一元管理する利便性や、複数人での共有のしやすさから注目を集めているのが「NAS(Network Attached Storage)」です。しかし、種類が多く、どれを選べばよいのかわからないといった悩みもあるかと思います。

本記事では、NASの基礎知識から、そのメリット・デメリット、選び方の比較ポイント、さらには主要なメーカーの製品の特徴までを詳しく解説していきます。最後までご覧いただき、自社に合った最適なNASを選ぶ参考にしていただきたいと思います。

NASの基礎知識

NASは、まだ一般には馴染みが薄いかもしれませんが、その高い利便性と優れた機能性が注目を集めています。以下では、NASに関する基本的な知識を紹介していきます。

そもそもNASとは?

NASとは、Network Attached Storageの略で、ネットワークを介してデータを保存・管理し、複数のデバイスからアクセスすることができる記憶装置です。インターネットやローカルネットワークを通じて、多数のデバイスが同時にアクセス可能なため、データの共有や管理が非常に容易になります。ビジネス環境において、写真や動画などの大量のメディアファイルを扱う企業にとっては、業務効率の向上に効果的です。NASは、その設置のしやすさと設定の自由度の高さから、小規模オフィスから大企業まで、幅広いシーンで活躍しています。

一般的なHDDとの違い

NASと一般的なHDD(ハードディスクドライブ)にはいくつかの大きな違いがあります。HDDは基本的に単独使用を前提としたストレージデバイスで、データの読み書きを行う際にはUSBケーブルを使って直接デバイスに繋ぐ必要があります。これに対して、NASはネットワークを通じてデータへアクセスできるため、物理的な接続を必要としません。この特性により、NASを使用すれば、どこからでも、そして多数のユーザーが同時にデータへアクセスすることが可能です。

さらに、NASは単にデータを保存するだけでなく、ファイル共有、データバックアップ、メディアストリーミング、リモートアクセスなど、多様な機能を有しています。これらの機能によって、生産性向上やデータ管理の効率化が期待できます。

NASのメリット

大容量のデータを保存・管理するという点では一般的なHDDと同様ですが、接続方法の違いやアクセスの利便性については前述したように、従来のHDDとは大きく異なります。続いては、NASを導入することによるメリットを解説していきます。

様々なデータを一元管理できる

NASの最大の魅力は、何と言っても様々なデータを一元管理できる点にあります。企業内のさまざまなプロジェクトや部門からのデータを一つの場所に集約し、管理することでデータの整理や迅速な検索を行えます。これにより、個々のデバイスのストレージを節約できることや、検索の手間や時間を節約できます。効率的なデータ管理を実現することで、複数の部門やプロジェクトが関与する大企業や成長中の企業にとっては、生産性や効率性の向上に寄与してくれます。

データのバックアップが自動でできる

データの紛失は、企業にとって大きな損失をもたらします。NASを利用することで、重要なデータの定期的なバックアップを自動化することが可能です。多くのNASシステムは、簡単な設定だけで日々のバックアップを自動で行う機能を備えており、万が一のデータ損失リスクを大幅に軽減できます。大切な記録や業務データを扱う企業において、この自動バックアップ機能は非常に価値の高いメリットと言えるでしょう。

複数人でデータの共有ができる

NASのもう一つの大きなメリットは、ネットワークを介して複数人でデータ共有ができるという点です。従業員は異なる場所にいながらも、同じファイルやデータにアクセスし、作業することができます。特に、リモートワークが常態化している現代においては、NASを導入することで、オフィス外からでも企業の最新データに安全にアクセスできるため、生産性の低下を最小限に抑えることができるのです。

NASのデメリット

NASを導入する事によるメリットについて説明しましたが、一方で、その導入や運用においてはいくつかの課題が存在します。つづいては、NASを導入する際に考慮すべきデメリットについて解説します。

導入の設定に時間と手間がかかる

NASを導入する際の最初のハードルは、設定の複雑さにあります。企業での導入の場合、既存のITインフラとの互換性を確認する必要や、セキュリティ対策・アクセス制限の設定などに時間と手間を要します。

しかし、多くのNAS製品は、ウィザード形式の設定ガイドを提供しており、これに従うことで基本的な設定を比較的簡単に完了できます。また、メーカーサポートやオンラインコミュニティからのアドバイスを受けることで、設定に関する疑問や問題を解決することが可能です。

データ消失のリスクがある

どのようなデータストレージシステムでも避けられないのが、データ消失のリスクです。NASも例外ではなく、ハードウェアの故障、ソフトウェアのバグ、ユーザーの操作ミス、サイバー攻撃など、様々な原因によりデータが失われる可能性があります。特に、NASはネットワークに接続されているため、外部からの攻撃に対する脆弱性が高まることも考慮しなければなりません。

データ消失のリスクを軽減するためには、定期的なバックアップの実施が不可欠です。NAS自体にバックアップ機能が備わっているため、設定は必ず行うようにしましょう。さらに、クラウドサービスを利用したオフサイトバックアップや、異なる物理的場所にあるNASへのバックアップなど、二重、三重の安全策を講じることが推奨されます。また、定期的なシステムの更新とセキュリティ対策の強化も、外部からの攻撃によるデータ損失を防ぐために重要です。

NASの選び方・比較ポイント

NASを選ぶ際には、使用環境に合わせた機能とスペックを比較検討することが重要です。以下では、NASを選ぶ上で重要な比較ポイントを紹介します。

HDDの容量や搭載台数

NASを選ぶ際、最も基本的かつ重要な要素の一つが、HDD(ハードディスクドライブ)の容量や搭載できる台数です。データの量が多い場合や将来的にデータが増加することを見越して、十分な容量を確保しておくことが重要です。また、搭載台数が多ければ多いほど、データの冗長性を高めることができ、万一の故障時でもデータを守ることが可能となります。用途に応じて、適切な容量と搭載台数を選択することが、長期的に見ても満足度の高い使用を可能にします。

RAIDの種類

NASを選定する際、RAID(Redundant Array of Independent Disks)の設定はデータ保護と性能向上において極めて重要な要素です。RAIDは複数のディスクを組み合わせて一つの単位として扱い、データの冗長性、速度、またはその両方を向上させる技術です。以下に、主要なRAIDレベルとその特徴をわかりやすく説明します。

RAID 0(ストライピング)

RAID 0は、データを複数のディスクに分散して保存することで読み書きの速度を向上させる方式です。この設定では、データは「ストライプ」と呼ばれる小さなブロックに分割され、2台以上のディスクに均等に分配されます。しかし、RAID 0には冗長性がないため、いずれかのディスクが故障するとデータは全て失われます。高速なデータアクセスが必要な環境での利用に適していますが、重要なデータの保管には適していません。

RAID 1(ミラーリング)

RAID 1は、2台のディスクに同じデータを保存することでデータの冗長性を確保する方式です。一方のディスクが故障しても、もう一方に同じデータが残っているため、データを失うことなくシステムを継続できます。読み込み速度は向上しますが、書き込み速度はそれほど向上せず、ストレージ容量は2台のディスクのうち小さい方に限定されます。重要なデータの保護に適しています。

RAID 5

RAID 5は、3台以上のディスクにデータとパリティ(誤り訂正情報)を分散して保存する方式です。1台のディスクが故障した場合でも、残りのディスクからデータとパリティを読み出すことで、失われたデータを再構築できます。RAID 5はデータの冗長性と速度のバランスが取れており、効率的なストレージ利用が可能です。中規模のビジネス向けに適しています。

RAID 10

RAID 10は、RAID 1のミラーリングとRAID 0のストライピングを組み合わせた方式です。4台以上のディスクが必要で、高い冗長性と優れた性能を両立します。RAID 10では、データはまずミラーリングされ、その後でストライピングされます。これにより、複数のディスクが同時に故障しない限り、データを保護できます。高性能と高いデータ保護が必要なビジネス環境に最適です。

RAID 6

RAID 6は、RAID 5をさらに強化した形で、4台以上のディスクにデータと2つのパリティ情報を分散して保存します。これにより、2台のディスクが同時に故障してもデータを保護できる冗長性を確保しています。RAID 6は、より高い安全性を求める大規模なストレージシステムに適しています。

マルチメディアに対応しているか

NASを選択する際に、マルチメディア機能の有無は非常に重要な比較ポイントです。マルチメディア対応のNASは、写真、音楽、動画など様々なファイル形式をサポートし、これらのメディアファイルを簡単に保存、整理、共有することができます。特に、ビジネスでプレゼンテーション資料や動画を頻繁に共有する場合や、営業先で写真を共有したりする場合には、必須の機能となります。また、ストリーミング機能が組み込まれている製品もあり、テレビやスマートフォン、タブレットなどのデバイスでコンテンツを利用することが可能です。

DLNAに対応しているか

DLNA(Digital Living Network Alliance)とは、家電製品、パソコン、スマートフォンなど異なるメーカーのデバイス間で音楽、写真、動画などのメディアファイルを共有し、再生するための国際標準規格です。DLNAに対応したNASを導入することで、企業内の様々なデバイスから簡単にメディアコンテンツへアクセスし、共有・再生することが可能になります。これにより、プレゼンテーション資料の共有、社内研修用のビデオの配信、企業イベントでの音楽再生など、ビジネスシーンでの利便性が大幅に向上します。

サポートが充実しているか

最後に、NASを選ぶ際には、メーカーの提供するサポートの充実度も考慮する必要があります。NASは、設定や管理、トラブルシューティングにはある程度の専門知識が必要です。特に初めての導入や複雑なネットワーク環境では、詳細なオンラインマニュアルやFAQ、チュートリアルビデオの提供、専門スタッフによる直接サポートが不可欠です。充実したサポート体制を持つメーカーを選ぶことで、万が一のトラブル時にも迅速に解決策を見出し、NASを安心して使用し続けることができます。

NASの主要なメーカー

多くのメーカーから多種多様なNASが発売されていますが、それぞれのメーカーは独自の技術や特徴を持っています。最適なNASを選ぶための参考として主要なNASメーカーの特色を紹介していきます。

BUFFALO(バッファロー)

  • 国内シェアが高い: 日本国内での知名度とシェアが高く、信頼性のあるブランドです。
  • コスパが良い: 手頃な価格ながら基本的な機能は完備し、使いやすいインターフェースを備えている製品が豊富です。。初めてNASを設置する方にもおすすめです。
  • サポート体制: セットアップが簡単で初めてNASを導入するユーザーに適しています。さらに、日本国内に強固なサポート体制を持っており、トラブル時も安心です。

Synology(シノロジー)

  • 高機能なOS: DiskStation Manager(DSM)は直感的で使いやすいOSで、豊富なアプリケーションが利用可能です。
  • ビジネス向け機能: 高度なバックアップオプション、仮想化サポート、アクティブディレクトリ統合など、ビジネスユーザー向けの機能が充実しています。
  • コミュニティのサポート:台湾のメーカーで、NASを専門としています。世界中のユーザーから支持されていて、ユーザーコミュニティが活発なため、多くの情報交換やカスタマイズのアイデアがネット上で共有されています。

I-O DATA(アイ・オー・データ)

  • 豊富なラインナップ: Windows、Mac、さまざまなデバイスとの互換性に優れており、幅広いニーズに対応したラインナップが豊富に揃っています。
  • 日本の老舗企業: 日本の老舗企業で、国内ユーザーのニーズに合わせた製品開発とサポートを行っています。
  • エントリーモデルが充実: 手頃な価格のエントリーモデルが充実しており、個人ユーザーにもおすすめです。

QNAP(キューナップ)

  • 多機能なOS: QTSオペレーティングシステムは、多彩なアプリケーションと機能を提供し、高度なカスタマイズが可能です。
  • 高性能で専門的:専門的な機能や拡張性に優れた製品が多く、スペックを重視するユーザーに支持されています。サーバー機能や仮想化環境を作成できるなど、多彩な機能が人気です。
  • 充実したカスタマーサポート:専門的な技術サポートチームによる迅速な対応と、豊富なオンラインリソースが提供されています。

ASUSTOR(アサスター)

  • コストパフォーマンス: 優れたコストパフォーマンスを提供し、高品質ながらも手頃な価格の製品が魅力です。
  • 直感的なOS: ADM(ASUSTOR Data Master)は使いやすいインターフェースを持ち、初心者から上級者まで幅広いユーザーに対応しています。
  • 拡張性とカスタマイズ性: 豊富なアプリケーションにより、ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが可能です。また、ハードウェアの拡張性も高く、将来的なニーズの変化にも柔軟に対応できます。

法人向けのNAS

つづいて、法人向けにおすすめできる各メーカーのモデルを紹介します。

QNAP『TS-233』

高度な写真管理機能

  • 内蔵NPUによるAI顔認識機能を搭載し、QuMagieアプリを使用することで、顔や物体の認識を通じて写真の自動整理・バックアップが可能です。

アクセスとバックアップの容易さ

  • myQNAPcloudを介したインターネット経由でのファイルアクセス機能を提供し、USBポートを利用した外部ストレージからのワンタッチコピーによる簡単バックアップも可能です。

コンパクトで効率的な設計

  • 2ベイのHDD搭載可能でありながら、186×91.7×157.6mmのコンパクトサイズを実現。高効率の冷却ファンによる低温・静音運用が可能で、無駄のないデザインはオフィスの環境にも馴染みやすいです。

Synology『DiskStation DS218j』

柔軟なストレージ管理と高速バックアップ

  • 3.5/2.5インチドライブ×2のサポートによる簡単なシステム設定で柔軟なストレージ管理を実現できます。デュアルコアプロセッサとハードウェア暗号化エンジンにより、高速なデータバックアップとスムーズなクラウド同期ができます。

多機能なメディアサーバー機能

  • DLNA準拠のデジタルメディアサーバーとして機能し、音楽、写真、動画のストリーミングが可能。様々なデバイスでのコンテンツを利用できます。

直感的なオペレーティングシステム「DiskStation Manager(DSM)」

  • ブラウザベースで直感的に操作可能なユーザーインターフェースを備えた「DiskStation Manager(DSM)」により、ストレージ管理、データバックアップ、ファイル共有など多岐にわたる用途に対応しています。

ASUSTOR『LOCKERSTOR 8(AS6508T) 』

高性能ハードウェア構成

  • IntelクアッドコアCPUと8GB DDR4メモリを搭載し、デュアル2.5GBase-T・10GBase-Tポートとm.2スロットを備えており、エンタープライズレベルの高度なスペックにより、高速なデータ転送と効率的なキャッシュ処理が可能です。

拡張性と効率性

  • 最大128TB / 160TBの大容量ストレージをサポートし、将来的な拡張も容易に対応可能です。M.2 PCIe NVMe SSDキャッシングによるパフォーマンスの向上(HDD環境比で60%アップ)と、SATA SSD環境よりも高性能かつ低コストを実現しています。

冷却とメンテナンスの容易さ

  • スマートな速度制御を備えたPWMファンとプッシュピンマウントのヒートシンクにより、内部エアフローを最適化し、安定性と高負荷時の性能を保持。また、メモリの増設や交換が外側シャーシを取り外すだけで簡単に行える設計です。

BUFFALO『TS3420DNシリーズ』

高速ネットワーク接続

  • 2.5GbE有線LANポートを搭載し、IEEE802.3bz規格に対応。これにより、カテゴリー6やカテゴリー5eケーブルを使用している既存の環境でも、高速なネットワーク接続を実現しています。

強力な処理能力と広範な互換性

  • クアッドコアプロセッサーを内蔵し、Windows、Mac、Linux/UNIXクライアント環境に対応。SMB/CIFSのサポートにより、複数部署での大容量ファイル共有や、グループ・ユーザー毎のアクセス制限を通じた安全なデータ管理が可能です。

多様なバックアップオプション

  • Windows標準バックアップ、MacのTime Machineなど、各種サーバーバックアップソフトウェアに対応し、クライアントPCからサーバーまで、あらゆるビジネスデータのバックアップをサポートします。

I-O DATA 『HDL-AAX2』

高速データ処理能力

  • 高性能デュアルコアCPUと2.5GbEポートを搭載し、複数のデバイスからの同時アクセスにおいても速度低下を最小限に抑え、読み込み時の最大速度は173.5MB/sに達します。これにより、高速なデータの読み書きを実現します。

多様な高速接続オプション

  • 超高速マルチギガビット(2.5GbE)対応に加え、USB 3.1 Gen 1(USB 3.0)ポートを背面に搭載。これにより、Gigabitを超える速度でのアクセスと、外部USBハードディスクへの高速データ転送が可能です。

便利なデータ移行機能と高速転送プロトコルのサポート

  • SMB 3.0に対応し、対応OSからの高速なデータ読み書きを最適化。また、データコピー機能により、古いNASから新しいNASへのデータ移行を簡単かつ効率的に行うことができます。

まとめ

本記事では、NASの選び方や比較ポイントについて解説してきました。設置後に「必要以上のスペックを選んでしまった」と後悔したり、「期待していた機能が実際には利用できない」という状況に陥らないためにも、まず最初に必要なデータの管理量を正確に見積もり、それに適した機能を持つNASを選定するようにしましょう。目的に合ったNASを選ぶことで、より効果的なデータ管理が行えます。

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