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電子帳簿保存法で納品書の保存はどうなる?期間や対応方法を解説

公開日:
2024/02/08
最終更新日:
2024/02/08
目次

電子帳簿保存法で納品書の保存はどうなる?期間や対応方法を解説

電子帳簿保存法改正により、納品書の取り扱いが大きく変わりました。

本記事では、新たに義務化された納品書の電子データ保存について、その方法と要件、さらには電子化によるメリットとデメリットなどを詳しく解説していきます。

また、効率的かつ安全な納品書のデータ保管方法も提案します。現代のデジタル化が加速するビジネス環境に適応するために、本記事をご活用していただければ幸いです。

2022年1月の電子帳簿保存法改正により納品書も対象となった

電子帳簿保存法は、帳簿や関連書類をデジタル形式で管理することにより、企業や個人事業主の会計作業を効率化し、コスト削減を図ることを目的としています。しかし、改ざん等を防止するために保存要件や罰則規定も設けられているため、注意が必要です。

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正では、電子データで受領した取引に関する書類は、電子データ形式で保存することが義務づけられました。以下で詳しく解説していきます。

電子データで受領した納品書は電子データでの保存が義務化

従来、納品書は紙の文書として扱われることが一般的でした。しかし、2022年1月の電子帳簿保存法改正により、電子データで受領した納品書は電子データ形式で保存することが義務付けられました。改正法の施行は2024年1月1日からとなっており、それ以後は取引先との電子データでやり取りした文書(注文書・納品書・請求書など)については、紙媒体で保存することはできません。

電子化した納品書の保存期間

電子化した納品書の保存期間は、法人と個人事業主で異なります。さらに、法人の場合には、法人税法と会社法によって、定められている保存期間が異なるため注意が必要です。次の段落で詳しく解説します。

納品書は保管が義務付けられている

納品書は、取引の証明としての重要な役割を担う文書であり、その保管は法的にも義務付けられています。納品書には取引の詳細が記載されており、税務調査などで重要な証拠となり得るため、法により定められた期間、保管しなければなりません。この保存期間は、事業の形態や取得している所得の種類によって異なります。以下では、個人事業主(フリーランス)、法人、雑所得を得ている場合における納品書の保存期間について説明します。

【個人事業主(フリーランス)】納品書の保存期間は5年半か7年

個人事業主やフリーランスの場合、納品書などの帳簿書類の保存期間は、5年か7年とされていますが、基本的には5年です。具体的には、確定申告の提出期限の翌日から計算した5年間となります。しかし、課税売上高が1,000万円を超える場合、個人事業主は消費税の課税事業者となります。その際に仕入税額控除を受けるための納品書保存義務の期間が7年と定められているのです。

  • 消費税の課税事業者でない個人事業主(フリーランス)は5年
  • 消費税の課税事業者として、仕入税額控除を受ける場合は7年

【法人】納品書の保存期間は7年間

法人の場合、納品書の保存期間による定めは、法人税法と会社法に規定されています。

法人税法では、確定申告書の提出期限の翌日から7年間とされています。確定申告書の提出期限は、事業年度終了の翌日から原則2か月以内なので、事業年度終了の翌日から2か月と7年間が納品書の保存期間となります。

会社法には、計算書類は作成をしてから10年間保管するように規定されています。この場合も、納品書を作成した日から起算するのではなく、決算の締め日の翌日からの10年間保存が必要となっています。

【雑所得を得ている場合】納品書の保存期間は5年間

個人事業主でない個人の場合でも、雑所得を得ている場合には、納品書を保存する義務が発生するケースがあります。前々年の雑所得の収入金額が300万円を超える場合には、納品書を5年間保存しなければなりません。

納品書の3つの保存方法と要件を紹介

電子帳簿保存法改正に伴い、納品書の保存方法や要件にはさまざまな変更点が生じました。これらの変更を理解し、効果的に文書を管理することは、業務の効率化やコスト削減、法的コンプライアンスの確保に直結します。以下で、納品書を保存するための3つの主要な方法を紹介し、それぞれの要件について詳細に解説していきます。

電子データでの保存

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日以降に電子データとして受け取った納品書は、電子データとして保存しなければなりません。

さらに、電子データとして納品書を保存するための要件も設けられています。

  1. 真実性の確保:電子データの改ざんがないことを保証するため、タイムスタンプの付与が必要。但し、削除・訂正などの履歴が確認できるシステムがある場合には不要。
  2. 可視性の確保:保存したデータが容易に視認できる環境(パソコン・説明書等)を確保。更に、取引年月日、取引先、取引金額などの主要な記録項目で検索できる機能を備えることが必要。

紙での保存

2024年1月1日以降、納品書を紙で保存する従来の方法は、納品書を紙の形式で受け取った場合のみ可能となります。取引先からメール等の電子データで納品書が送られてきた場合は「電子取引」に該当するため、そのまま電子データの形で保存する必要があります。

紙の納品書を保管する場合は、迅速に必要な書類を見つけられるように、事業年度ごとに整理しておくことが重要です。

さらに、納品書の保管期間は5年から10年と長期に渡るため、水濡れや破損、汚れなどのリスクを考慮し、適切に保管しておく必要があります。

スキャナでの保存

従来、紙で受け取った納品書はそのままファイリングして保管するのが一般的であり、納品書をスキャンして電子データとして保存するには、事前に国税庁への承認申請が必要でした。しかし、法改正により、承認申請が不要となったため、要件を満たすことでいつでも電子データとして保存することが可能となりました。スキャナでスキャンして保存するための要件は以下のとおりです。

  • 最長2カ月とおおむね7営業日以内に入力
  • 解像度200dpi相当以上で読み取る
  • 赤・緑・青それぞれ256階調で保存
  • タイムスタンプを付与
  • 訂正や削除の履歴や内容が確認可能
  • スキャンしたデータに関連する書類との関連性が確認可能
  • 14インチ以上のカラーディスプレイの備え付け
  • 速やかに整然・明瞭な出力が可能
  • システム概要書等の取り付け
  • 検索機能の確保

納品書を電子化するメリット

現代のビジネス環境において、デジタル化の流れはますます加速しています。特に、納品書のような業務文書を電子化することは多くのメリットがあり、日々の業務の効率化やコスト削減に多大な効果をもたらしてくれます。以下では、納品書を電子化することによる主なメリットについて詳しく紹介していきます。

作業時間を短縮でき業務効率が向上する

納品書を電子化する最大のメリットは、何と言っても業務効率の向上です。紙ベースの文書管理では、物理的なファイリングや書類の探索に多くの時間を費やす必要がありました。しかし、電子化された納品書は、クラウドや社内サーバー上で瞬時にアクセスでき、必要な書類を迅速に検索できます。これにより、書類管理に関わる作業時間が大幅に削減され、より生産的な業務に集中することが可能になります。

保管・管理コストを削減できる

紙の書類を物理的に保管するには、相応のスペースが必要です。特に大量の納品書を保管する場合、保管スペースの確保は大きなコストとなります。大量の書類を電子データ形式で保管することで、物理的な保管スペースにかかるコストを削減できます。

さらに、紙の書類は時間の経過と共に劣化するリスクを伴います。これを防ぐためには、適切な保管環境の維持などの管理コストが発生します。納品書を電子化することで、このようなリスクを回避し、保管・管理コストを削減することができるのです。

印刷や郵送の手間がかからず相手にすぐ届けられる

納品書を電子化することにより、印刷や郵送などの従来のプロセスが必要なくなるという大きなメリットもあります。加えて、納品書に何らかの誤りがあったり、変更が必要になった場合の訂正や再送を迅速に行うことが可能です。電子化された納品書は、メールやクラウドベースのシステムを通じてわずか数秒で相手方に送信できるため、業務の効率が大幅に向上する上、郵送にかかるコストも削減できます。

紛失や盗難のリスクが減る

紙の納品書を物理的に送付したり保管したりする場合、紛失や盗難のリスクが常につきまといます。しかし、納品書を電子化すれば、これらのリスクを大幅に軽減することができるというのもメリットの一つです。電子データは、クラウドストレージや内部サーバーに保存されるため、物理的な紛失や盗難の心配がなくなります。また、定期的にデータのバックアップを取ることによって、データ損失の可能性も格段に低くすることが可能です。

過去の書類を管理・保管しやすくなる

電子化された納品書は、紙の納品書に比べて分類・整理・検索が格段に容易なため、過去の文書の管理や保管作業がスムーズに行えます。特定の納品書を探す際も、キーワード検索や日付フィルターなどを活用することで、迅速に必要な文書を見つけ出せます。加えて、電子データは物理的な保管スペースを必要としないため、大量の文書も効率良く保管することが可能です。

日常の取引において頻繁に使用され、長期間保存する義務のある納品書は、数も多く管理が大変です。そのため、電子化による管理や保管の容易さは非常に大きなメリットと言えます。

納品書を電子化するデメリットや注意点

納品書の電子化は、数多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。納品書を電子化する際には、これらの課題を理解し、適切に対処することが重要です。以下では、納品書の電子化に伴う主なデメリットや注意点について詳しく解説します。

情報漏洩のリスクがあるのでセキュリティ対策が必要

納品書を含む業務文書を電子化した場合には、情報漏洩のリスクがあります。電子データはサイバー攻撃やハッキングによるリスクに晒されます。そのため、データの安全を確保するために、強固なセキュリティ対策を講じる必要があります。具体的には、ファイアウォールの設置、アクセス管理、定期的なセキュリティ更新と監査、従業員のセキュリティ教育などが必要となります。

運用フローの作成や導入に時間がかかる

納品書の電子化は、従来の業務プロセスの再設計を必要とすることがあります。新しいシステムの導入や運用フローの設計には時間と労力が必要です。特に大規模な組織や、従来の紙ベースのプロセスが深く根付いている場合、移行は複雑かつ時間を要する可能性があります。

取引企業との連携が必要

納品書の電子化には、取引先企業との連携も必要です。取引先が電子化された文書の受け取りに対応していない場合、効率化のメリットは完全には享受できません。そのため、取引先との間で電子化の標準を確立し、相互にデータ形式や伝送方法について合意する必要があります。

システム障害によっては閲覧制限がかかる

電子化された納品書は、システム障害やネットワークの問題によりアクセスできなくなる可能性があります。これは紙ベースの文書にはないリスクであり、重要な業務に支障をきたすことがあります。したがって、緊急時の対策として、データのバックアップ体制の確立や代替アクセス手段の準備が必要です。

納品書の記載項目

納品書は取引において重要な役割を果たす文書であり、その記載内容は取引の正確性と透明性を保証するために不可欠です。納品書には、取引の基本的な情報が詳細に記載されるべきで、これらの情報は後の会計処理や税務申告の根拠となります。以下では、標準的な納品書に含まれるべき主要な項目について説明します。

発行元の名称

納品書にはまず、発行元の正式な名称が記載されます。これには企業名や組織名、事業所の住所や電話番号も記載することが一般的です。書式については規定がなく、押印なども必須ではありませんが、信頼性を高めるために押印されることが一般的です。電子データの場合には、電子印鑑を使用することが可能です。

注文者(企業)の名称

納品書には、商品やサービスを受ける側、すなわち注文者(購入者)の名称も記載されます。ここには注文者の企業名や組織名、住所、電話番号などが記載されます。この項目は、取引がどの企業間で行われたかを明確に示すために重要です。

発行年月日

実際に納品した正確な日付を記入します。配達の場合は相手先に到着する日付を、サービスなどは提供が完了した日を記入することが一般的です。しかし、商品を出荷した日を納品書発行日とするケースもあります。

商品の代金や税額

納品書には取引された商品やサービスの詳細(品名、数量、単価など)、小計金額、適用される消費税、合計金額が記載されます。これらの情報は取引の透明性を保ち、正確な会計処理を行うために重要です。

合計金額

最後に、納品書には全ての商品やサービスの代金の合計額が記載されます。この合計金額には、適用される税額も含みます。合計金額は、取引全体の価値を示すと同時に、支払いや会計処理の基礎となるため、正確な計算が求められます。

納品書のデータ保管は対応システムの導入がおすすめ

デジタル化が加速する現代のビジネス環境においては、納品書の管理と保存に適した対応システムの活用が推奨されます。

電子帳簿保存法に基づき、納品書を電子データで保存する場合、一定の要件を満たすことが求められます。これには、データの真実性と可視性を保証する必要がありますが、適切なシステムを導入すれば、これらの要件を効率的に満たすことが可能です。

しかし、システムの導入には初期投資や運用に関するコストがかかるため、事業の規模やニーズに応じて最適なシステムを選択しましょう。

まとめ

これまで、電子帳簿保存法改正に伴い、納品書の保存方法や要件、電子化のメリットとデメリットについて詳しく解説してきました。適切な保存方法の選択と納品書管理の効率化によって、日々の業務はよりスムーズに進み、コスト削減が可能となります。

本記事で提供させていただいた情報を活用し、法規制に適合しつつも効率的で安全な事業運営を実現していただくことを願っています。

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