レンタルファイルサーバーとは?メリットや比較ポイントも徹底解説
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テレワークの普及や働き方の多様化に伴い、安全で効率的なファイル共有の仕組みが企業にとって不可欠になっています。その解決策として注目されているのが、「レンタルファイルサーバー」です。
しかし、「自社でサーバーを立てるのと何が違うの?」「どんな基準で選べば良いのだろう?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ファイルサーバーのレンタルを検討している企業の担当者様に向けて、その基本からメリット・デメリット、比較する際のポイントまで、分かりやすく解説します。
レンタルファイルサーバーとは?

レンタルファイルサーバーとは、自社で物理的なサーバー機器を購入・設置するのではなく、サービス提供事業者が所有するインターネット上のサーバー領域を借りて、業務データやファイルを保存・共有する利用形態のことを指します。
従来、企業がファイルを共有するためには、社内にファイルサーバーやNAS(ネットワーク接続ストレージ)を設置するのが一般的でした。しかし、機器の購入費用や設置スペース、電気代、故障時の対応といった負担が課題となっていました。レンタルの場合、これらのインフラ部分は事業者が管理するため、利用者は契約した容量や機能を利用するだけで済みます。
「クラウド型」と「オンプレミス型」の違い
ファイルサーバーをレンタルする「クラウド型」と、自社に設置する「オンプレミス型(NAS)」には明確な違いがあります。最も大きな違いは、管理の主体とアクセス性です。 オンプレミス型は、機材が手元にあるためカスタマイズの自由度が高く、社内ネットワーク内での高速なアクセスが可能です。しかし、社外からアクセスするにはVPN(仮想専用線)の構築が必要であり、停電や災害時のデータ消失リスク、機器の老朽化に伴う買い替えの手間が発生します。
一方でクラウド型のレンタルファイルサーバーは、インターネット環境さえあれば場所や端末を選ばずにアクセスできます。テレワークや外出先からの業務がスムーズに行えるほか、サーバーのメンテナンスやセキュリティ対策は事業者が行うため、社内担当者の負担が大幅に軽減されます。
ファイルサーバーをレンタルする4つのメリット

レンタルファイルサーバーは、コストや運用の手軽さ以外にも多くのメリットをもたらします。ここでは、企業がレンタルファイルサーバーを導入することで得られる主な4つの利点について、具体的に見ていきましょう。
導入コストと運用負担を大幅に削減できる
最大のメリットは、コストと運用負担の削減です。オンプレミス型サーバーを導入する場合、サーバー本体や関連機器の購入、設置場所の確保、そしてOSやソフトウェアのライセンス費用など、多額の初期投資が必要です。
しかし、レンタルサーバーであればこれらの初期費用はほとんどかからず、月額料金だけで利用を開始できます。さらに、サーバーの保守や障害対応、セキュリティアップデートといった専門的な運用管理はサービス提供事業者が行うため、情報システム担当者の負担を大幅に軽減できます。
場所を選ばない柔軟なファイルアクセスが可能になる
レンタルファイルサーバーはインターネットを介して利用するため、オフィス内だけでなく、自宅や外出先など、場所を問わずにファイルへアクセスできます。これにより、テレワークやハイブリッドワークといった多様な働き方に柔軟に対応可能です。
スマートフォンやタブレット専用のアプリを提供しているサービスも多く、移動中に資料を確認したり、簡単な修正を行ったりと、業務のスピードを落とすことなく仕事を進められます。
専門家による高度なセキュリティ対策が施されている
企業の重要なデータを扱うファイルサーバーにとって、セキュリティは最も重要な要素の一つです。レンタルファイルサーバーのサービス提供事業者は、データの暗号化、不正アクセス検知、脆弱性対策など、高度なセキュリティ対策を専門家チームが24時間365日体制で実施しています。
これらの対策をすべて自社で行うには莫大なコストと専門知識が必要ですが、レンタルサービスを利用することで、月額料金の中にこれらのセキュリティ対策が含まれるため、安心してデータを預けることができます。
契約プランの変更で容量の増減が容易にできる
事業の成長に伴って扱うデータ量が増加した場合、オンプレミスサーバーでは機器の増設や買い替えが必要となり、手間とコストがかかります。
その点、レンタルファイルサーバーは柔軟です。利用人数やデータ容量に応じた複数の料金プランが用意されており、Web上の管理画面から簡単な手続きでプランを変更できます。これにより、事業の状況に合わせてストレージ容量を迅速に増減させることができ、常に最適なコストで運用することが可能です。
ファイルサーバーをレンタルする際の3つのデメリット

多くのメリットがある一方で、レンタルファイルサーバーには注意すべきデメリットも存在します。導入後に後悔しないためにも、あらかじめこれらの点を理解し、自社の状況と照らし合わせておくことが重要です。
定期的なランニングコストが発生する
レンタルファイルサーバーは、初期費用を抑えられる代わりに、月額または年額での利用料金が継続的に発生します。利用するユーザー数やデータ容量によって料金は変動し、長期間利用し続けると、結果的にオンプレミス型サーバーを導入するよりも総コストが高くなる可能性があります。
導入前には、数年単位でのトータルコストを試算し、自社の予算計画と合致するかを検討する必要があります。
オンプレミス型よりカスタマイズ性が低い
レンタルサービスは、提供事業者が構築したシステムを複数のユーザーで利用するため、提供される機能や設定の範囲内でしか利用できません。自社独自の業務システムと連携させたり、特殊なセキュリティポリシーを適用したりといった、細かいカスタマイズは困難な場合が多いです。
オンプレミス型であれば自社の要件に合わせて自由にシステムを設計できますが、レンタル型ではその自由度が低いという点を理解しておく必要があります。
インターネット接続環境が必須になる
レンタルファイルサーバーは、インターネット経由でアクセスすることが前提となっています。そのため、安定したインターネット接続環境がなければ、サービスの利用が困難になります。オフィスのネットワーク回線が不安定であったり、通信障害が発生したりした場合には、業務が完全に停止してしまうリスクがあります。また、大容量のファイルを頻繁にやり取りする場合、回線速度によってはアップロードやダウンロードに時間がかかり、ストレスを感じる可能性も考慮すべきでしょう。
レンタルファイルサーバーを比較する際のポイント

レンタルファイルサーバーを選ぶ際は、単に容量や価格だけで比較するのではなく、運用方法・将来拡張性・セキュリティ面など総合的に評価することが重要です。 ここでは、選定時に必ず確認しておきたいチェックポイントを紹介します。
使いやすさ(UI・運用フロー)が業務に合っているか
新しいファイルサーバーを導入する際は、現在の運用方法やファイル整理方法と大きく乖離しないものを選ぶことがポイントです。 操作方法が大きく違うと、社員教育や運用設計に時間がかかり、生産性を損ねてしまう可能性があります。
- Windowsエクスプローラーに近い操作性か
- 既存のフォルダ構造をそのまま移行できるか
- ITリテラシーが低い社員でも扱えるか
日常業務の延長線上で利用できることが、スムーズな定着につながります。
セキュリティ機能と管理性能
レンタルファイルサーバーは企業の機密情報や顧客データを扱うため、セキュリティ仕様は必須チェック項目です。 特に確認したいポイントは以下の通りです。
- データ暗号化(保存時・通信時)
- アクセス権限の柔軟な設定
- アクセスログの取得・監査機能
- データセンターの堅牢性(場所・Tierレベル)
- バックアップ体制や災害対策(DR/BCP)
特に複数の部署にまたがって膨大なデータを保存・共有する必要がある企業の場合、部署ごとにアクセス権限を設定してデータの閲覧・編集を制御できる機能の選択は必須です。
料金体系と将来の拡張性
レンタルファイルサーバーは、サービス提供会社や契約プランにより料金体系が異なります。
- 月額固定(容量・利用人数で変動)
- 従量課金(データ量・通信量・オプション課金)
- 初期費用+ランニングコスト型
現在の利用状況だけでなく、3〜5年後のデータ量・利用ユーザー数増加を想定し、余裕を持ったプラン選定を行いましょう。 また、容量追加が簡単かどうかやプラン変更の柔軟性、オプション費用や最低利用期間の制限についても事前に確認しておくと失敗しにくくなります。
オンプレミス型からクラウド型に移行時の注意点

続いて、オンプレミス型のファイルサーバーからクラウド型に移行する場合の注意点を説明します。
移行前にバックアップを取る
自社で運営しているサーバーからクラウド環境にデータを移行する場合、移行前にデータのバックアップを取ることが重要です。データを移し替えている途中でサーバーや回線に障害が発生した場合、重要なデータが破損・消失してしまう可能性があります。 念入りに準備していても、予期せぬトラブルが起こる可能性は否定できないため、多少時間と手間がかかったとしても、バックアップは必ず取るようにしましょう。
データ移行は段階を踏もう
サーバーからデータを移行する際には、闇雲に全部のデータを一斉に移し替えるのではなく、移行するデータを優先順位付けして、段階的に移していくことが大事です。 データの移行中はサーバーに負荷がかかり、日常業務に支障が出る可能性もあります。部署やチームごとにデータを移行しても問題がない日時を割り出して、計画的に移行しましょう。現場とシステム担当者との密な連携が重要です。
運用コストを計算する
オンプレミス型からクラウド型にデータを移行することで、具体的にどれぐらい運用コストが変動するのか、できるだけ詳しく計算しておきましょう。事前にしっかりとコストシミュレーションをしておくことが重要です。
また、データを移す際に転送料が別途かかるサービスもあるので注意しましょう。サーバーのデータ受信に関しては無料でも、サーバーからデータを送信する場合には有料というサービスもあるようです。想定外の費用がかからないように、導入するサービスの料金設定や通信容量は必ずチェックするようにしましょう。
ビジネス向けレンタルサーバーサービス

最後に、ビジネス向けのレンタルサーバーを紹介しておきます。ウェブサイトの運用はもちろん、ファイルサーバーとして活用しても良いでしょう。
NTTグループの老舗サービス『スマイルサーバー』
スマイルサーバーはNTTスマートコネクトが提供している法人向けのレンタルサーバーです。
共用サーバーではあるものの高稼働率で、サーバー運用初心者でも丁寧なサポートを受けられるので初めてレンタルサーバーを導入する企業も安心です。万が一、サーバーに障害が発生した場合の返金制度もあります。
スマイルサーバー ※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
25年以上の実績『シーズホスティングサービス』
シーズホスティングサービスは、利用者の用途に応じて最適な環境を構築してくれるレンタルサーバーです。独自のファイルサーバープランも利用でき、1TBの大容量HDDを標準搭載しています。
ブラウザから簡単にサーバーの管理ができるので初心者でも使いやすく、IP制限で共有ファイルにアクセスできるユーザーを絞り込むことが可能です。定期メンテナンスや365日のサポートも受けられます。
シーズホスティングサービス ※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
ハイスペックで安定表示『さくらのレンタルサーバー』
さくらのレンタルサーバーは1996年から提供されている老舗のレンタルサーバーであり、その安定性と転送量の大きさに定評があります。共用サーバーはもちろん、メール専用プランやマシン1台を専有できるマネージドサーバープランなど、さまざまなサービスを利用できます。
特にマネージドサーバーは、指定のディレクトリを複数のユーザーで利用できるファイル共有機能があるので、そのままファイルサーバーとして活用可能です。
さくらのレンタルサーバー ※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
クラウド型ファイルサーバーという選択肢も比較に入れよう

レンタルサーバーは導入のしやすさやコスト面で魅力があり、まず候補に挙がる選択肢ですが、ファイル管理や共有用途で利用する場合、容量制限・保守作業・バックアップ・セキュリティ更新など、運用面の負担が発生しやすいというデメリットもあります。
最近では、こうした課題をカバーできるサービスとして、クラウド型ファイルサーバーを選ぶ企業が増えています。容量拡張やセキュリティ対応、バックアップなどをサービス側が担うため、利用者は管理に時間を割かず、必要なときに必要なだけ利用できます。
ここでは、クラウド型ファイルサーバーの代表的なサービスを紹介します。
「レンタルサーバーで十分」と感じている方でも、比較対象として知っておくと検討の幅が広がります。
企業が求めるストレージがコンセプト『Fileforce』
Fileforceは高いセキュリティ性能と操作性を誇る法人向けのクラウドストレージサービスです。自由度の高いアクセス権限設定ができるのが特徴で、部署やチーム、プロジェクトなど、さまざまな組織単位と組み合わせで効率の良いワークスペースを構築できます。
すべての機能を管理コンソールで一元的に管理・制御が可能で、ストレージ内のファイルの利用状況を詳細に把握できる監査証跡機能も利用できます。どちらかと言えば大企業向けではあるものの、中小企業でもビジネス環境に合った運用が可能です。 ネットワーク負担を抑えるため、非同期型を採用しているクラウドストレージなので、同時編集はできませんが、セキュリティ重視の企業におすすめです。
大容量ファイルでも送付可能『SECURE DELIVER』
SECURE DELIVERは、富士フイルムメージングシステムズが提供している大容量ファイルの送受信に適したクラウドストレージです。企業のもつ大容量データや機密データを取引先や海外企業とスムーズに受け渡しが可能で、SSLによる暗号通信とデータ暗号化で安全にファイルのやり取りができます。
万が一、誤送信が発生した際にも、すぐにダウンロード用のURLを無効化でき、管理機能からユーザー制限やIPアドレス制限も可能なので、人的ミスによる情報漏洩を防ぐことが可能です。国内で2000サイト以上に導入されており、有名企業からの信頼度も高いです。
SECURE DELIVER ※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
容量無制限で高セキュリティ『Box over VPN』
Box over VPNはNTTコミュニケーションズが提供しているクラウドストレージで、ストレージ容量無制限で自由にファイル共有を行えるのが魅力です。 もともとセキュリティ強度に定評のあったファイル共有サービス「Box」のサービスを、プロバイダ事業者であるNTTコミュニケーションズのVPNで利用できるもので、よりセキュアな環境で大容量ファイルの受け渡しができます。
24時間365日受付のヘルプデスクも利用できるので、万が一、トラブルが起こった際も素早く対応してもらえます。
Box over VPN ※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
まとめ
本記事では、レンタルファイルサーバーの基本的な知識から、メリット・デメリット、そして自社に最適なサービスを選ぶための比較ポイントについて解説しました。レンタルファイルサーバーは、初期コストと運用負担を抑えながら、安全で柔軟なファイル共有環境を構築できる強力なツールです。
今回ご紹介した選び方や注意点を参考に、自社の課題を解決し、生産性向上を実現する最適なパートナーを見つけてください。まずは無料トライアルなどを活用し、実際の使用感を確かめてみることから始めることをお勧めします。



