「今、企業DXに必要なものは?」情シスのリソース確保に有効なファーストステップ

公開日:
2021.09.16
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最終更新日:
2021.09.27

 新型コロナウイルスの感染拡大を起因とする急激なビジネス環境の変化は、テレワークなどの新しいワークスタイルを一気に浸透させた。また、デジタル領域への拡大による生活様式や消費者ニーズの変化に対応するため、常に新しい価値を生み続ける源泉としてのデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業に求められている。

 その一方で、経済産業省のレポート(DXレポート2/2020年12月)によれば、全体の9割以上の企業が「DX未着手」または「散発的な実施」にとどまっているのが現状だ。緊急措置的なテレワークの導入といった、いわば事業継続のための取り組みに終始しており、持続的な成長を生む本質的なDXには至っていない姿が浮き彫りになった。

 それでは、なぜ日本のDXは進まないのか。「DXの中核を担うべき情シス部門がいまだコスト部門として扱われているのが問題です」――そう語るのは、国産クラウドストレージサービスを展開するファイルフォースの蓮井氏だ。同氏によれば、本来デジタル戦略を主導すべきIT部門が日々の運用・管理に疲弊し、企業競争力を高めるための本質的なDXにリソースを割けないのだという。詳しく話を聞いた。

 ファイルフォースは従来のファイルサーバやNASに代わり、会社や組織単位で使える新世代のファイル管理クラウドサービスだ。分かりやすくストレスのない操作性、組織で管理しやすい中央集中管理のコンセプトと柔軟な権限管理を特徴とする。昨今は外資系のクラウドストレージサービスも多いが、ファイルフォースは高信頼・高セキュアな国産サービスとして支持されている。

image取材に応じるファイルフォース セールスチームの蓮井雅弘氏

 蓮井氏によると、特にコロナ禍以降、急激に進んだテレワークへの対応に伴ってクラウドストレージへの関心が高まっているという。「社内ファイルサーバと同様のディレクトリ構造や権限設定で、使い勝手のよさを維持したまま在宅ワークに対応したい」「高セキュアな環境で社外とファイルのやりとりをしたい」「パスワード付きZipファイルとそのパスワードを別送する『PPAP』は無意味なので廃止したい」といったニーズは非常に高く、ファイルフォース社もコロナ禍以前と比べると、その売上高・導入社数ともに大きく増加している。

 ユーザーのみならず、中小企業のテレワーク課題を良く知る大企業からの注目も高いようだ。「例えば、21年4月にはNTT東日本との協業でコワークストレージというサービスをご提供しております。主に中小企業さま向けに展開いただいているクラウドストレージで、提供開始から約4カ月となりますが、すでに当初の想定を大きく上回るご契約をいただいております。市場として見ても大企業のみならず中小企業からも、より切実なニーズとして、SaaSストレージの需要が増えている実感があります」

 その一方で、クラウドストレージサービスを導入した結果、オンプレ(自社運用)とクラウドの“いいとこ取り”どころか、二重管理の手間で情シスが疲弊している実態がある。クラウドに移行したはいいものの、ファイルサーバとは異なる設計思想のストレージサービスを導入してしまうと、従来の運用ルールやフォルダ構成などで大きな変更を強いられる。また、新たな権限ポリシーの策定や管理体制の構築などが必要になり、結果として情シス部門のリソースを圧迫することとなる。DXを推進すべき情シス部門が、最もDXの恩恵から遠く「割りを食う」部門となってしまう図式が出来上がってしまうのだ。

 「スムーズな移行と運用のためには、自社の運用に沿うサービスを選ぶことが何よりも重要です」と蓮井氏。クラウドストレージと一口に言っても、サービスによってコンセプトが異なることは意外と知られていない。

 「私が思うに、クラウドストレージには、オンプレのファイルサーバの設計思想や運用を踏襲しているサービスと、いわゆるUSBメモリをクラウド化したような設計思想のサービスに分類できます。後者のタイプはどちらかというと全社や組織単位というよりも、個人でのファイル保管や共有に適した機能を有していることが多く、後者はファイルサーバのクラウド化に際しては、ほとんどのケースでアクセス権限の設定やフォルダ構造の設計など、運用設計の段階から苦労することになります。その結果、せっかくクラウドストレージを導入しても、従来のファイルサーバを完全に廃止できない企業も多いのです」

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法人向けのクラウドストレージでもコンセプトが異なる

 DXを推進するには、情シスのリソースを適切に配分する必要がある。しかし、自社の運用コンセプトに合わないタイプのサービスを選んでしまうと、移行や運用にかなりの負担がかかってしまう。DXへの対応で二重管理の課題が生まれ、情シスの負荷は増大してしまっている状況だ。

 「情シスは運用・保守のコスト部門ではなく、DXを担って将来的に利益を生む部門と考え方を改める必要があります。彼らのリソースをクラウドへの移行や運用に割くのではなく、DXのために確保することが、DX推進の最初のステップになります」

クラウド利用に伴うセキュリティリスクは早急に対応すべし

 なし崩し的にテレワークへ踏み切った企業の中には、事業継続を優先してセキュリティやガバナンスが二の次になっているケースもある。例えば、業務部門ごとに異なるSaaSを利用し、情シスが管理できない「シャドーIT」の領域が生まれてしまう状況だ。

 現場が個人向けの無料サービスを「便利だから」と使い始めた結果、業務と切り離せなくなり、セキュリティのリスクはあるものの情シスは追認せざるを得ない。こうしたケースも情シスの悩みの種になっている。

 これは重要な個人情報や顧客情報を扱う業態はもちろん、あらゆる企業にとって早急に対応しなければならない問題だ。利用状況の把握・管理ができない野放しの状態は大きなセキュリティリスクになる。仮に情報流出が起きなかったとしても、そのような状態で事業をしていること自体、企業のブランドを毀損(きそん)する恐れもある。取引先の信用を失いかねない状況だ。

 また、社内データの分散化は、ナレッジの共有やデータ活用、コラボレーションワークのハードルになり、生産性の低下を引き起こす。検索してもファイルが見つからない、社員が辞めたときにその人が持つノウハウとともに関連資料が行方不明になる、といった状況になれば業務効率は大きく低下するだろう。これではDXを実現するための最初のステップも踏み出せない。

 「2020年秋くらいから、企業全体でテレワークに伴うデータのクラウド化が本格的に始まりました。これは不可逆的な変化であり、アフターコロナの時代においても、もはやコロナ禍以前の環境に完全に戻ることはないでしょう。これからはテレワークとオフィス勤務を両立させて働く時代になるので、それを見据えた環境整備に注力する流れになっています」

 シャドーITや社内データの分散問題を解決し、DXの推進を実現するには、全ての業務の起点となるファイルの共有基盤をしっかりと設計し、なおかつ運用管理の負荷を軽減する必要がある。これを実現するのがファイルフォースだ。

日本で全てを開発する「完全国産企業」の強み

 ファイルフォースはファイルサーバにおけるディレクトリ構造や権限設定といった運用ルールをそのまま踏襲して使うことができる。ルールを再設計する手間が省けるだけでなく、現場の社員も全く変更を意識することなく、PCのデスクトップにあるフォルダから、ファイルサーバと同じようにアクセスできるのが強みだ。導入を担当する情シスにとっては、ユーザートレーニングの負荷が大幅に低減できることも大きなメリットだろう。

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ファイルフォースはWindowsのドライブとしてマウントすることで、クラウドストレージでありながら、ローカルのフォルダと同じ感覚で扱える。画面はPCにZドライブとしてマウントしているところ

 また、自社で開発した独自のデータ転送ツールも無償で提供している。このツールを使えば、ユーザーは通常業務を止める必要がない。移行期間中の差分データの更新や、任意のファイル/フォルダの移行除外設定にも対応しており、途中でネットワークが切断された場合も、再接続されたタイミングで自動的に移行が再開される優れものだ。担当者は最初の設定と最終確認だけ行えば、データ移行は業務に支障の出ない形で自動的に完了する。

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データ転送ツールの画面

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移行状況はダッシュボードで進捗を確認できる

 サーバ運用保守のリソースを削減する機能も備えている。ログレポートの自動化機能では、操作画面から簡単にログをリスト化し、ユーザー単位やファイル単位で何が起きたかをソートして確認できる。万が一情報漏えいの危険性があったときでも、システムの専門知識のないスタッフが簡単かつ詳細にデータをチェックできるようになっている。

他にも、管理者によって一部の権限をユーザーに委譲する機能を使えば、業務部門とIT部門で管理業務の切り分けが可能となる。運用にあたって不明な点は、情シス向けの専用サポートデスクも用意されているので安心だ。

 では、実際に業務に使用するユーザーの視点からはどうだろうか?

 「DXによる新しい価値創造のためには、社外パートナーやクライアントとのコラボレーションが不可欠になってきます。そこでもファイルフォースは活躍します。例えば、ファイル共有機能。昨今ではパスワード付きのZipファイルをメールに添付する、いわゆるPPAPを廃止する動きもありますが、そうした用途でもセキュアなクラウドストレージは有用でしょう」と蓮井氏は話す。

 テレワークにおいては、在宅勤務の回線がリッチでない環境もある。その場合、サイズの大きなファイルをメール送信すること自体が業務への負担になりかねない。家で作業するからとファイルをダウンロードして持ち帰れば、セキュリティのリスクも生まれる。その点、クラウド上でデータをやりとりする環境を構築しておけば、ファイルフォース上にあるフォルダやファイルを共有するだけでいい。

 「ファイルフォースでは、プレビュー機能や『Fileforce® Drive』(Windowsエクスプローラーからファイルにアクセス可能なアプリ)にストリーミングの技術を活用しており、ファイルサイズの大きなプレゼン用のPPTファイルや動画ファイルなどもストレスなく確認できます。また、このDriveアプリは、限定同期型であるためユーザーネットワークへの負荷が非常に低く、さらにはユーザーPC内のキャッシュデータの暗号化にも対応しています。仮にPCの紛失や盗難で、悪意を持った部外者がキャッシュデータにアクセスしたとしても、オンライン上で認証されていない状態(オフラインなど)ではファイルとしてデータを復元することはできません。管理者にとってもユーザーにとっても、安心して利用できる非常にセキュアな就業環境を構築することが可能です」

こうした強みは数々の企業で採用された実績を生かして反映したものだ。ファイルフォースにはIT部門の課題を解決してきた知見が凝縮されている。もちろん、その大前提になるのは、国産クラウドサービスとしての高い信頼性だ。

 「ファイルフォースは、顧客の全ファイルデータを集約・管理していただくことを前提に設計・提供しているサービスです。当然、その中には機密情報や個人情報などが含まれることは想定しております。開発・運用・データの管理(保管)を全て日本国内で完結する形で体制を構築することは、顧客の信頼にお応えするためには必然の選択であると考えております。もちろん、最高の技術レベルを維持するためにも、エンジニアをはじめとする人材は海外からも広く採用しておりますが、その場合も採用後は日本に移住してもらい、国外からは絶対に管理するデータにアクセスさせない、日本から出さないことをポリシーにしています。ここまで明言しているサービスは他にはなかなかないのではと思います」

テレワークが浸透するにつれ、個人情報をはじめとする機密文書をオフィス外で取り扱わざるを得ないシーンは頻繁に起きるようになった。類似サービスを提供する日本法人でも、開発は海外で行っている、というケースは少なくない。サービス提供までのフローや運用保守の委託先が海外にあるなど、ブラックボックス化されていれば、セキュリティ要件が厳しい業態は不安を感じ導入には慎重になるだろう。

しかし、ファイルフォースは全て国内で完結することをポリシーとしているため、与信情報を扱う金融や保険、士業といった業種で多数導入されている。特に、士業はテレワークにより電子契約・電子署名の導入が進み、それに伴いクラウド化が進んでいるようだ。

 変化の激しい時代、強靱な企業へ生まれ変わるためにDXを推進することが日本企業に求められている。その足元を固め、持続的な成長を支えるには、情シスのリソースを確保し、社内外にまたがるコラボレーションの土台となるSaaSストレージの活用は欠かせない。

 「ファイルフォースは日本のDXを全力で支援していきます。データ管理や運用は専門家であるわれわれにお任せいただくことで、企業の情報システム部門においては、本来担われるべきクリエイティブなDX業務に注力いただけるようお手伝いさせていただければ幸いです」