クラウドストレージの基礎知識。ファイルサーバとの違いや選び方

公開日:
2021.06.17
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最終更新日:
2021.08.06

クラウドストレージの基本知識からファイル共有ソフト・ファイルサーバとの違い、企業で導入する際の活用事例を紹介します。クラウドストレージのメリットや注意点を理解したい人や、自社に導入を検討している人は参考にしましょう。

クラウドストレージとは

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大容量データの取り扱いやリモートワークが増えてきた現代では、クラウドストレージを導入する企業が増えてきました。まずはクラウドストレージとは何か、概要を理解しておきましょう。

クラウド上でファイル共有等が可能なサービス

『クラウドストレージ』とは、インターネット上に仮想のストレージ(保存場所)を用意し、インターネット回線さえあればどこからでも自由にファイルの保存や共有ができるようにしたサービスです。 オンラインストレージとも呼ばれ、その利便性から既存のファイルサーバやNASのリプレースやファイル共有の手段として、多くの企業に導入されはじめています。

そもそもクラウドとはインターネットを通じて必要なタイミングで必要な分のサービスを利用できる環境のことをいい、ネットワーク経由で利用できるのが特徴です。 現在はクラウドを通じてさまざまなサービスが提供されており、クラウドストレージもその一つとなっています。

ファイル共有ソフトとの違い

インターネット経由で他者とファイルを共有するために、専用のファイル共有ソフトが使われる場合もあります。ファイル共有ソフトを使って他者とファイルのシェアを行う場合、各々のユーザーがパソコンに専用ソフトをインストールしたり、Webサービスにログインアカウント登録する必要があります。

無料サービスの場合は、共有するファイルや共有アドレスなどの個人情報が暗号化されていないケースもありますので、業務で使用する場合には注意が必要です。 また、ファイル共有ソフトの中には、違法性からニュースにも取り上げられていた不特定多数と同一ファイルを共有したい場合に使うサービスもあります。

不特定多数と共有ができる性質上、違法なファイルの送受信・ウイルス感染などの問題があるため、セキュリティの観点からも法人利用には向きません。 組織内での共有に利用する場合は、組織や業務に合わせて、ファイルサーバのようなフォルダ構成でデスクトップからアクセスできるクラウドストレージであれば、業務効率性も上がり便利です。ファイルサーバのように使えるというサービスにも色々ありますので、アクセス権限が柔軟・詳細に設定できるかも確認しておきましょう。

クラウドストレージの普及が進む理由

総務省の調査によると、何らかのクラウドサービスを利用している企業は全体の64.7%にあたり、そのうち具体的に使っているサービスは『ファイル保管・データ共有』がもっとも多く56%となっています。

企業全体の約35%がクラウドストレージやそれに類するサービスを活用しているのが現状です。
クラウドストレージを導入する理由として、多くの企業が業務ファイルなどの無形資産やそれを保守するシステムを社内に保有しなくてもよいことを挙げています。

社内でファイルストレージを構築・運用するよりもコストがかからず、安定した運用とバックアップが不要になること、テレワーク導入やBCP対策としても有効な点が普及している大きな理由です。 ※出典:

法人向けクラウドストレージを利用する場合の活用例

img クラウドストレージを導入すると、実際の業務でどのように活用できるのでしょうか。クラウドストレージを法人利用する場合の、具体的な活用例をいくつか紹介します。

社内外の特定の相手とお互いにファイルを共有 脱PPAPにも有効

企業によってはクライアントごとに共有用のフォルダを作り、そこでデータのやり取りをしているケースもあるでしょう。これまで電子メールに添付していたデータを該当フォルダにアップするだけでよいため、自社だけでなくクライアントの業務効率も改善できる可能性があります。

最近話題のパスワード付のZipファイルを2回に分けてメール送信する、通称PPAPの運用を変えるためにも有効です。 社外のメンバーを招待する場合には、共有フォルダの利用状況の把握や不要になった場合の閉設などの管理や利用状況のログ取得ができるサービスを選ぶとよいでしょう。

また、社内はもちろん、社外のメンバーにも、アップロードやダウンロード以外に編集を可能とするか等、相手に依頼したいアクションに合わせた適切なアクセス権限を付与できるかも重要なポイントです。

カタログや動画などの大容量ファイルを扱う

法人向けのクラウドストレージサービスは、1TB以上の大容量を保存できるものや容量無制限のものも珍しくありません。大容量を扱えるサービスは、企業のカタログや動画といった重いファイルのやり取りに適しています。

自社のサーバ内でデータ管理をする場合と違い、メール添付の時のような送信先での容量制限やストレージの容量を気にすることなくファイル共有環境を構築できるのは大きなメリットといえるでしょう。特に日常的に大量の画像や動画を取り扱う必要のある場合に役立ちます。 大容量データを送受信する時間と手間を削減できるため、業務効率が向上します。

災害対策としてのクラウドバックアップ

災害対策として、クラウドストレージに重要なデータのバックアップを取っておく企業も多くなっています。ローカル環境にデータを保存している場合、ハードウェアのトラブルによって大切なデータが消えてしまうリスクが常にあります。 最近では、このリスクを回避するために、バックアップだけでなく全社や組織のファイルサーバや拠点に散らばるNASをはじめとした記憶媒体に保管されているデータをクラウドストレージに集約する企業も増えてきました。

法人向けのクラウドストレージであれば、企業側でのバックアップが不要なサービスもあります。 自社でファイルサーバやNASを管理する場合は、経年劣化によって故障したり、落雷などの天災の被害に遭ったりする可能性もあるでしょう。使用していたソフトウェアがクラッシュして、未保存のデータが消えてしまうケースも珍しくありません。

クラウドストレージの中にはローカルデータの自動バックアップをとってくれるものもあるため、作業中のデータにトラブルが起こってもクラウドからすぐに復元できます。社員が使うPC内にファイルを保管せずに常にクラウドストレージにファイルを保管するようにすれば、PCの破損や紛失時にも安心です。

働き方改革の実現

政府が推奨している働き方改革の実現にも、クラウドストレージが役立ちます。インターネット環境があればどこからでも必要なファイルにアクセスできるため、近年導入事例が増えているテレワークや在宅勤務のために導入する企業も増えてきました。 外回りの営業担当者が出先から顧客データを閲覧・編集したり、ストレージ内にある資料をパソコンで表示させながらプレゼンしたりするというった使い方も考えられます。担当者が常に最新の情報を扱えるようになるため、仕事の生産性向上につながるでしょう。

ファイルサーバと比較したときのメリット

ファイル管理システムとして、ファイルサーバを取り入れている企業も多くあります。 ファイルサーバとは、企業の業務用ファイルを管理する役割を持つサーバのことです。ゼロからサーバを構築するのではなく、特定のパソコンに専用ソフトウェアをインストールしてファイル管理用マシンとして使っている場合も多いでしょう。 クラウドストレージとファイルサーバと比較したとき、クラウドストレージにはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に解説します。

保守や維持管理まで含めたコストの削減

自社の業務に必要なデータを管理するためにファイルサーバを構築することも可能ですが、相応のコストがかかる上に専門の管理者が必要になります。

コストを比較する場合には、ハードウェアだけでなく、バックアップ用の機器や保管場所、専門の管理者への保守・維持管理費用まで含めて考えるべきでしょう。サーバのハードウェアは安価にはなってきていますが、コストパフォーマンスが必ずプラスになるとは限りません。

また、ファイルサーバ導入の場合はシステムライフを5年とみたときに、5年間での最大容量やスペックを計算し、最初からの最大容量、スペックで構築する必要があります。クラウドストレージなら、必要な時に必要なID数や容量を契約すればよい ので合理的で導入時の費用が安く抑えられるのもメリットといえるでしょう。 法人利用の高品質な有料サービスにも用途に合わせて小さく始められるサービスが増えていますので、ファイル管理のコストを大幅に削減できます。

運用保守の負担が少ない

保守や運用の負担が少ない点も、クラウドストレージの魅力です。自社でファイルサーバを運用する場合、定期的な保守点検や日々のサーバ運用を自社で行わなければなりません。 専任の担当者が必要になることも多く、専門知識のある人材がいなければ新たに採用したり外部委託する必要が出てくるでしょう。

故障に備えていても、いざ障害が発生した際の社内のシステム管理者の作業負荷も大きく、日中の業務を止めずにメンテナンスする場合には、休日や深夜の作業を強いられることもあります。

クラウドストレージの場合、クラウド環境を構築しているサーバシステムの運用・保守はベンダー側で行います。自社でメンテナンスをしなくても常に最新の状態で使うことができ、管理にかける時間が不要になります。 障害が起こったときもほとんどの場合ベンダーが対応してくれるので、自社に専門知識を持った人材がいなくても問題なく運用が可能です。

システム管理者は利用状況の全体把握がしやすいサービスを選ぶことで、ファイルサーバ管理の管理にかかる作業負荷を大幅に減らしながら、現状よりも更に高いレベルのセキュリティで社内の情報管理ができるようになります。ファイルサーバのクラウド化を検討する企業が増えている理由に保守・維持管理リソースの深刻な枯渇があると言えるでしょう。

サービスの選定は慎重に

img クラウドストレージを導入したり、既存のファイルサーバのクラウド化を検討する際、どのような基準でサービスを選べばよいのでしょうか。自社に合ったクラウドストレージの選び方の基本を解説します。 企業によって細かい選定ポイントは違ってきますが、基本を押さえておけば選定しやすくなるでしょう。

機能、オプションを吟味する

クラウドストレージは導入後のカスタマイズが難しいため、事前に自社のニーズにマッチした機能が搭載されているか、オプションによって必要な機能が実装できるかを確認することが重要です。

パッケージ化されたサービスを購入する形式のものが多いため、データ容量や料金だけに注目して導入してしまうと、現場でうまく使いこなせない状況に陥る可能性があります。 具体的にどういう機能が必要なのかを洗い出し、長期的な視点で自社の業務環境に合ったサービスを選択するようにしましょう。セキュリティ対策も企業にとって重要になるため、ユーザー認証やデータ暗号化など情報漏えいを防げる仕様になっているかも確認しておく必要があります。

プランは企業規模に合っているか、無制限=Goodではない

クラウドストレージの料金プランは、保存できる容量によって費用が変わってきます。利用するユーザー数も多ければ多いほど月額(または年額)費用が高くなる傾向にあるため、自社の事業規模に合ったプラン選択が必要です。 実際に扱うデータ容量や人数を大きく超えた高いプランを選んでしまうと、無駄なコストが発生していまいます。

かといって、無制限プランには、アップロードできるファイル容量やブラウザ上でプレビューできるファイル容量に制限があるといった制限事項がある場合もありますので注意しましょう。

また、今現在のビジネス規模にマッチしていたとしても、将来的に従業員が増えて現状のプランでは満足に運用できなくなる可能性もあります。利用可能なユーザー数に問題はないか、必要に応じてユーザー数や容量を柔軟に変えられるサービスかをチェックしておきましょう。

安全に運用するための主な対策

img 顧客や自社の貴重なデータ扱うクラウドストレージは、安全に運用していく必要があります。そのために必要な対策を二つ紹介しますので、しっかりチェックしておきましょう。

不正アクセス対策

企業がクラウドストレージを運用する上で、不正アクセス対策は必須です。インターネット環境さえあれば場所を選ばずアクセスできるため、社外から第三者が不正にアクセスを試みたり、本来は閲覧権限のない社員が機密情報の含まれたデータにアクセスしたりする可能性はゼロではありません。

社外からのアクセスに対しては、IPアドレス制限を行って特定のデバイス以外からの通信を遮断する・デバイスの認証、多要素認証を行うといった対策が役立ちます。 内部不正を防ぐためには、重要なファイルに閲覧権限を持たないユーザーがアクセスできないようにするなど細かな権限の設定が有効です。

クラウドストレージの場合、既存のファイルサーバのような詳細かつ柔軟なアクセス権限の付与ができなかったり、上位フォルダの権限の継承しかできない、固定のアクセス権限パターンしかないというサービスもあります。

ストレージはビジネスインフラとも呼べるものですので、長く利用するイメージをもって、整理整頓されたわかりやすいフォルダ構成と不必要な業務情報へのアクセスを防ぐための設定を行るかは、重要なポイントになりますので必ず確認をしましょう。

シャドーIT対策

シャドーITとは、社員や業務部門が企業側の承諾を得ないままITツールやクラウドサービスを業務に使ってしまうことをいいます。クラウドストレージの場合、社員や特定部門が独自に無料のストレージを業務データの保存に活用しているケースが考えられるでしょう。

無料で使えるクラウドストレージはセキュリティに問題があることも少なくありません。企業側が把握しないうちに重要なデータが社外に流出したり、パソコンがマルウェアに感染してしまったりする可能性があるのです。

社員が仕事の生産性向上のために、自分の使いやすいITツールやクラウドサービスを使いたいと考えることは少なくありません。全社的にガイドラインを定めるなどして社員にシャドーITのリスクを周知し、社員の意見を聞いた上で業務に利用できる便利でわかりやすいサービスを選定し、そのストレージだけに利用を限定するといった対策をすべきでしょう。

まとめ

クラウドストレージの基本知識と導入メリット、法人が利用する場合の活用事例を紹介しました。ローカル環境でファイルサーバを構築するよりもコストが安く運用保守の負担が少ないため、業界・業種を問わず数多くの企業が全社・組織のファイルサーバやNASのクラウドストレージ移行を検討・導入し始めています。

社内の重要な情報資産を管理する仕組みですので、海外発のサービスや国産サービスでも開発・運用拠点がどこかを確認しておくのはカントリーリスクの観点でも重要になっています。開発や運用保守で外部委託があるかも確認しておきましょう。

クラウドストレージは、システム管理部門の業務負荷を削減しながら、安全に社内の情報資産を保管し、社内外との情報共有においても業務効率を上げるために有用なサービスですが、導入にあたっては不正アクセス対策やシャドーIT対策を徹底することが重要です。 必要なリスク対策をした上で、自社のビジネス環境にマッチしたサービスを選択するようにしましょう。

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