テレワークにおけるコミュニケーションの課題。ITツール活用で解消

公開日:
2021.03.17
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最終更新日:
2021.05.31

多様な働き方が実現できるテレワークですが、企業は多くの課題に直面しています。特に、コミュニケーションの減少による影響はチームの生産性や社員のメンタルにも大きな影響を及ぼします。ITツールを活用しながら、課題を一つずつ解決していきましょう。

テレワークを導入する上での課題

テレワークを導入した場合、社員や企業はどのような課題に直面するのでしょうか?個人の努力も必要ですが、企業には仕事がしやすい環境や仕組みを整える義務があります。

人により向き不向きがある

テレワークには人によって向き・不向きがあります。テレワークに向いているのは自己管理能力が高く、人の指示を待たずとも自主的に動ける人です。

一方、『上司の指示がなければ動けない人』はテレワークが難しいと感じるシーンがあるかもしれません。
オフィスワークでは指示された通りに仕事をこなせば、一定の評価は獲得できたでしょう。しかし、対面の機会が減った途端に何をすれば良いのか分からなくなり、『上司の指示待ち』で時間を無駄にしてしまうのです。
部下に指示だけをして、その後の行動を検証しない上司もテレワーク時にはこれまでとは方法を変える必要があるでしょう。
テレワークを導入し成果を上げるためにも、組織のマネジメント体制や目標・スキル設定、コミュニケーション方法についての見直しを検討することをお勧めします。

コミュニケーションの減少

テレワークを導入すると、会話の機会が激減します。やりとりには、チャットやメール、ビデオ電話などのオンラインツールが用いられますが、コミュニケーション不足による課題を持つ企業が多いのが現状です。

意思疎通が困難になるとチームの生産性が低下します。「指示が不明確で伝わっていない」「情報が共有されていない」などの問題により、多くのすれ違いやトラブルが発生する可能性があります。また、ディスカッションやアイデア出しといった『チームでの共同作業』にも影響を与えます。個人が持つ情報やナレッジが共有されにくく、新たなアイデアやコラボレーションが生まれにくいのは、企業にとっては大きなマイナス点でしょう。

勤務時間を管理しにくい

オフィスワーク時の勤怠管理はタイムカードやオフィスへの入出場の記録で行えましたが、テレワークは仕事ぶりが見えないため、純粋な勤務時間の算出が困難になるでしょう。

上司は「仕事をさぼっているのではないか?」という疑念を持つ一方、部下は「さぼっていると思われていないだろうか」と不安を感じます。特に、テレワーク後は『成果主義』に傾く傾向があるため、「どうにかして結果を残さなければ…」と睡眠時間を削る社員も出てきます。プライベートと仕事の境界線がなくなり、隠れ残業が増加するかもしれません。

勤務怠慢・過剰労働が発生しないように、勤怠管理ルールを一から見直す必要があります。働き過ぎに関しては、時間外・休日・深夜労働を禁止とし、リモートデスクトップシステムや業務システムに業務時間外のアクセス制限を設けるといった方法が有効です。

社員の育成や評価が難しい

テレワーク導入後はこれまでの人事評価や社員育成の方法を大きく変える必要性が出てきます。まずは、上司や部下が抱く不安点を拾い上げることが重要です。

上司と部下がお互いに不安を抱く

テレワークになると、社員の働きぶりが見えなくなります。人事評価の判断材料が減ると、『見えないところでの頑張り』が評価されなくなってしまうのです。

「上司は自分を正当に評価してくれるのだろうか?」「何を基準にして評価されるのだろうか」と社員は疑問を抱くでしょう。一方、管理職は『部下の勤務怠慢』や『生産性の低下』に対して不安を覚えるようになります。『監視』という形で部下を管理するようになってしまうと、お互いの信頼関係にまで影響が及ぶかもしれません。

テレワークに合った評価制度が必要

オフィスワークでは『プロセス』と『結果』の両方から人事評価がなされてきましたが、テレワークでは、部下の勤務態度が把握できなくなり、評価が成果に偏ってしまう可能性があります。

成果に至るまでのプロセスやテレワーク中においても、チームへの貢献度や協業姿勢なども正当に評価されるよう、テレワークに特化した新たな人事評価制度を設ける必要があるでしょう。前述のとおり、社員の多くは「テレワーク後の人事評価の基準が不明確」と感じています。人事評価の『目的』や『基準』を明らかにした上で、社員全員に周知させるのを忘れてはいけません。必要に応じて説明会や面談も行いましょう。

メンタルケアが難しい

時間や場所にとらわれないテレワークは自由でストレスのない働き方のように見えますが、メンタルケアが難しく、心身のバランスを崩すリスクをはらんでいます。社員のケアにも力を入れましょう。

環境の変化やストレスで体調を崩す

慣れないテレワークで心身のバランスを崩す人が増えています。在宅勤務は『家庭環境』によって生産性が大きく左右されるため、必ずしもすべての社員が快適に仕事ができているとは限らないのです。

一人暮らしで会社以外での交流がほとんどない人の場合、テレワーク後は孤独感を覚えるようになります。自宅にこもりきりになり、うつ状態になってしまう人も少なくありません。子育てと仕事が両立できず、オフィスワーク時よりも精神的・肉体的な負担が増えたという人もいます。コミュニケーションの機会が激減すると、1人で問題を抱え込む社員が増加します。『働きやすく、相談しやすい環境』を整えるのも企業の役目といえるでしょう。

お互いの歩み寄り方がポイントとなる

テレワークでは一人で作業を進める『ソロワーク』が中心です。上司の指示を待っているだけでは業務は成り立たず、社員にはこれまで以上に『自律的な働き方』が求められます。

ただ、ソロワークが長期化すると、『チームへの帰属意識』が薄れたり、一人で仕事を抱えてしまったりする社員が増えてくるのも事実です。『月刊総務』が全国の総務に対して行ったアンケートによると、約85%の企業がテレワークの推進により社員とのつながりに課題を感じていると回答しています。上司は部下の自律性をサポートすると同時に、『心のつながり』や『相互信頼感』を保つ工夫をしなければなりません。

業務では仕事の経過をチーム間でこまめに共有し、チームの連帯感を強めましょう。上司が「よく頑張っているね」「いつも助かっているよ」とねぎらいの言葉を掛けることで、部下のモチベーションはアップします。また、業務だけでなく、部下のメンタルヘルスにも注意を払う必要があります。「困ったことはない?」「体調はどう?」という「あなたを気にかけています」というメッセージが伝わる言葉をかけることで、心身の不調に早い段階で気づける可能性があります。参考:月刊総務プラス

人間関係の希薄化を防ぐ対策

テレワークでは、出勤ストレスから解放される反面、コミュニケーション不足になり、人間関係が希薄化してしまう可能性があります。人と人とのつながりが弱くなれば、チームワークが崩れ、組織全体に悪影響を及ぼします。
円滑な人間関係を維持するために、どのような対策が必要なのでしょうか?

テレワークに必要な能力、知識に関する研修

テレワークを導入する前に、社員一人一人が『テレワーク時のコミュニケーションに必要なスキル』を身に着けておく必要があります。

  • 言語化能力(自分の意図を文字や言葉で正確に伝える)
  • セルフマネジメント(自己管理能力)
  • 自己開示能力(自分の考えや状況を相手に共有する)

対面の機会が減ると、『社員研修』をどう行うかで頭を悩ませる企業が多くなります。研修を怠れば、社員は不安を抱えたままテレワークに移行しなければなりません。認識のズレや共有の漏れが多くなり、結果的に企業にマイナスの影響をもたらすでしょう。

テレワークに必要なスキルや知識を学ぶには『eラーニング』などのインターネットを活用した研修システムが有用です。本来研修を行う場合は、会場・配布資料・講師の手配などで準備に手間がかかりますが、『eラーニング』の場合は、インターネット環境とパソコンなどのデバイスがあれば、時間と場所を選ばずに各々で学習を進めることができます。

日々進化するITツールを活用

テレワークのデメリットは、日々進化する『ITツールの導入』で解決ができます。『コミュニケーション不足』を解消するには、ビデオ電話やビジネスチャットなどのコミュニケーションツールの活用が有効です。

『勤怠管理』については、遠隔で社員の勤怠を管理できるクラウドツールを導入すると良いでしょう。始業・終業・休憩などが正確に記録できるものや、パソコンや携帯・スマホなどで打刻した際の位置情報を確認できるGPS機能を搭載したものも登場しています。

社員のメンタル面を把握するのは難しいですが、健康状態が可視化できる『健康アプリ』を活用すると、管理がしやすくなります。医療・介護系の求人サイト『グッピーズ』が提供する『グッピーヘルスケア』等は、ストレス状態の可視化が可能です。簡単な質問に答えるだけで仕事へのモチベーションや会社への満足度などがチェックできるため活用してみるのもよいでしょう。

交友関係を増やす機会を提供する

生産性が高く、成功しているチームは『心理的安全性』が高い傾向があります。これは、一人一人が不安や羞恥心を感じず、安心して発言できる状態のことです。

チームの成功には『他人への配慮』や『共感』などのメンタル的な要素が欠かせないといっても良いでしょう。リモートで気軽な雑談の機会がなくなれば、関係が希薄化し、心理的安全性が低下するおそれがあるのです。多くの企業では、『雑談専用のチャット』や『オンラインのコーヒーブレイク』を設け、社員同士のコミュニケーションの活発化を図っています。会社での親睦会や飲み会が減った代わりに『オンライン懇談会』や『オンラインランチ会』を企画するのも良いでしょう。

まとめ

テレワークを導入すると、各社員の『能力の差』が課題になります。とりわけ、自己管理能力やコミュニケーション能力が低い社員は、業務が思うように進まないという壁にぶつかるかもしれません。人事評価の基準が曖昧で仕事ぶりが正当に評価されなければ、会社と社員の間に溝が生まれる可能性も高いです。

企業は、テレワークに向けた新たな仕組みづくりを行うと同時に、オンライン研修やITツール、アプリなどをフル活用し、テレワークの課題を一つずつ消していきましょう。