テレワーク中のコミュニケーション不足に注意。ツール活用で良好な環境を

公開日:
2021.02.25
 / 
最終更新日:
2021.02.26

社内の勤務体制をオフィスワークからテレワークに切り替える企業が増加しています。時間や場所に囚われずに働けるのがメリットですが『コミュニケーション不足』は避けて通れない問題です。ITツールを導入し、テレワークがしやすい環境を整えましょう。

会話量が減るテレワーク


『テレワーク』は近年増加傾向にある勤労形態の一つで、PCや電話などを活用して場所や時間に縛られずに働くことを指します。

遠隔で会議や業務が行えるのは大きなメリットですが、『会話量が減る』という問題も浮上しています。

「ちょっとお話よろしいですか」が言いにくい

テレワークは情報通信機器を活用して、いつでも・どこでも柔軟に仕事ができるのがメリットです。一方で、社員同士の意思疎通がしにくいことが大きな課題になっています。

テレワークでは、Web会議ツールや電話などを使って会議や業務の指示を行うのが一般的ですが、会話のたびに通話をつなぐ必要があります。内容は必要最低限の連絡や報告のみとなり、業務以外の話は減少するでしょう。

上司に「ちょっとお話よろしいですか?」と気軽に声が掛けにくく、情報伝達が遅延したり、分からない点がそのままになってしまったりする恐れもあります。

顔を合わせない連絡が億劫になる

テレワークでは「顔を合わせない連絡が億劫」と感じる人が多いようです。

対面では『指示の緊急度』を表情や雰囲気で伝えることができます。相手の様子からその理解度を測ることも容易でしょう。

一方、顔が見えないチャットやメールは非視覚的情報に頼らざるを得ず、従来のコミュニケーション方法ではカバーしきれない部分も出てきます。

業務の指示は文字だけで詳細に伝える必要がありますし、メールやチャットのレスをこまめにチェックする作業も欠かせません。

誰が・どこで・何をしているかが見えないため、チャットで逐次報告をするように要求する企業もあります。

こうした業務報告が煩わしくなり、仕事に対するモチベーションが下がる社員がいるのも事実です。

自分の仕事を一人で頑張りすぎる

テレワークを導入する企業では「社員が見えないところで仕事をさぼらないか」を懸念しますが、同時に『働きすぎ』にも注意しなければなりません。

テレワークは時間よりも、どれだけの成果を挙げたかで評価される傾向があります。成果が挙がらなければ私用や休憩に時間を使っていたと見なされるため、結果を残すための『サービス残業』が増えるのです。

私生活と仕事時間の境界線が曖昧になり、残業申請をせずに何時間も働き続けるケースも少なくありません。こうした状態が続くと『テレワークうつ』を発症してしまいます。

コミュニケーション不足の問題点

テレワークの大きな課題は社員同士の『コミュニケーション不足』です。意思疎通の機会が減少すると、具体的にどんな弊害が生じるのでしょうか?

心理的安全性が確保できない

テレワークがもたらすコミュニケーション不足は、心理的安全性を崩壊させる要因の一つです。

『心理的安全性』とは対人関係において、他人の反応を気にしたり、羞恥心を感じたりすることなく、本来の自分がさらけ出せる雰囲気のことを指します。

ハーバード・ビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱した概念で、心理的安全性が確保されたチームは生産性が高く、成功しやすいことが分かっています。

雑談の場が切り取られたテレワークは意思疎通がしにくく、自分の言いたいことが言えなくなる可能性が高いです。不要な遠慮や忖度をしてしまい、本来の自分がさらけ出せない人もいるでしょう。

対面会議に1名のみがテレワークで参加するケースでは会議室のメンバーだけが盛り上がり、テレワーク参加者が置き去りになることも少なくありません。

緊張感を保てない

出社時は社員同士でコミュニケーションを取りながら、臨機応変に業務に対応することが可能でした。常に緊張感があり、互いに切磋琢磨できる環境だったとも言えるでしょう。

テレワークはコミュニケーションを取るのにコストが掛かるため、必要最低限の連絡・報告が行われます。仕事ぶりを監視する人がおらず、社員の緊張感が緩むのがデメリットでしょう。

多くの日本企業の雇用形式は人を採用してから業務を割り振る『メンバーシップ型雇用』です。全員で協力して業務が遂行できるのが強みですが、『個々の役割が不明確になる』『成果を出せない社員が出てくる』などの欠点もあります。

人の目が届かないテレワークになるとそれが顕著になり、『さぼり』につながる恐れがあるのです。

組織で働く意義を見失う

テレワークでコミュニケーションの機会が減ると、『組織への帰属意識』が薄れてきます。

タスク化された業務をこなすことがメインになり、『チーム全体で仕事をしている』『組織に必要とされている』という実感がなくなってくるのです。

社員が組織で働く意義を見失うと何が起こるのでしょうか?

まず、自分の仕事にやりがいが感じられなくなり、モチベーションが下がります。こうしたい、ああしたいというアイデアが出なくなるため、チーム自体が衰退していくでしょう。

最終的に組織に愛着が持てなくなり、離職率の上昇を招きます。チームのビジョンや自分の考えがシェアできる場を設けることが鍵です。

コミュニケーション活性化施策の重要性

業務に生じるさまざまな弊害をリモートのせいにしていませんか?コロナ後は、社会全体が『テレワーク』を基本とした働き方に移行する可能性があります。

現在、多くの企業は、対面によらない『コミュニケーション活性化施策』を確立しようとしています。

生産性の向上

コミュニケーション活性化施策を取り入れると、組織全体の生産性が向上します。その理由は『社員のエンゲージメントが高まるため』です。

エンゲージメントとは、企業に対する自発的貢献意欲を指します。簡単に言えば、企業に対する『思い入れ』や『愛着』です。

コミュニケーションの活性化は社員同士の人間関係を円滑にし、組織に対する貢献意欲を助長させます。業務上の連携がスムーズになる上、仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。

施策の一環として、社員同士が感謝の気持ちを報酬で送り合う『ピアボーナス』や、テレワークの合間に社員同士が自由に集える『リフレッシュルーム』の導入が挙げられます。

社外への良いアピールになる

コミュニケーション活性化施策は社外へのアピール(対企業・対個人)にもなります。

政府の働き方改革ではテレワークの推進を行っていますが、『生産性の低下』や『コミュニケーションの支障』などが不安で、導入に二の足を踏んでいる企業が多いのです。

すでにテレワークを導入している企業は施策をアピールすることで、多くの企業の『お手本』となるでしょう。

『テレワークで柔軟な働き方を提供している会社』というイメージが確立され、地方や海外在住の優秀な人材が集まりやすくなるのもメリットです。

意識したいコミュニケーションのポイント

相手が見えないテレワークでは『伝え方』と『情報共有』がキーポイントになります。一人一人が意識すれば、コミュニケーション不足がもたらす悪影響を最小限に抑えられるはずです。

指示は具体的に出す

テレワークではチャットやメールなどを使った『文字のやりとり』が多くなります。上司が部下に指示を出す際はこれまで以上に内容を具体化する必要があるでしょう。

業務は目的・目標・期限を明確にするのが基本です。「後で報告して欲しい」と曖昧に指示をせず、「12月15日14時までに、箇条書き形式で共有ドライブにアップして欲しい」と伝えなければなりません。

文字の大きさや色が変更できるチャットツールであれば、重要度や緊急度に合わせて色を変える配慮も必要でしょう。

新入社員や経験の浅い社員は『自己管理能力』が未熟です。業務が段取り良くできるようなサポート体制を整えましょう。

フィードバックは対面より丁寧に

テレワークでのフィードバックは対面よりも丁寧、かつ慎重に行う必要があります。電話やチャットを使うと、視覚的情報が遮断されて相手に気持ちが伝わりにくくなるため、Web会議ツール(ビデオ通話)を使うのが理想です。

内容には『状況』『行動』『成果』の3点を必ず盛り込みます。「これじゃダメだ」など、感情的・主観的な言葉は使わず、「行動の結果に対してどうするか?」を具体的に示してあげましょう。

「〇〇さんはどう思う?」と問いを投げ掛け、自分で答えを考えさせるのも有効です。

業務連絡のみにならないようにする

テレワークでは上司のコミュニケーションスキルが試されます。オンラインで連絡をする際は業務連絡だけではなく、部下のケアも念頭に置きましょう。

「資料はいつまでにできる?」「〇〇を今日までに仕上げておいて」など、業務の指示だけになってしまうと、面と向かって話すよりも冷たい印象を与えてしまうのです。

『Web会議の初めの2分間は近況報告に充てる』など、コミュニケーションアップのための工夫をしている企業もあります。

また、連絡をする際はできるだけ一度に用件をまとめましょう。五月雨式に連絡をすると、相手はその都度手が止まり、業務効率が著しく低下してしまいます。

セルフマネジメント力を身に付ける

テレワークでは、自分が自分の仕事を管理する『セルフマネジメント力(自己管理能力)』が求められます。そのためには、『チームメンバーが今何をしているか』が明確でなければなりません。

テレワークを導入するにあたり、チームで情報共有ができる仕組み作りは不可欠です。予定管理については『スケジュール管理ツール』や『チャットツール』を活用しましょう。

「今日はWebミーティングに遅れます」など、それぞれが自分の予定を書き込めるため、オンライン上にいないことへの不信感が防げます。『指示待ち』や『判断待ち』が減り、効率的に仕事が遂行できるでしょう。

自ら予定や成果を発信する

情報はチームで活用してこそ真価を発揮します。社員一人一人が予定や成果を発信できるような場を設けましょう。

まず、テレワークでは情報を分かりやすく可視化することが大切です。進捗を管理する際は一定のルールを設定しておくと良いでしょう。

大きな予定変更があるときは、個人がスケジュールを編集するだけでなく、みんなに分かりやすく発信することが求められます。

自分の業務における役割とゴールを決め、それが達成できたかどうかを示す機会を設ける必要があります。

テレワークで自らが予定や成果を発信するようになると、『自主性』が身に付きます。上司があれこれ指示を出さなくても、一人一人が自発的に動くチームができるのです。

会話不足問題はツール導入で解消

テレワークにおけるコミュニケーション不足は、『チャットツール』『Web会議ツール』『業務管理ツール』などの導入で解決できます。ツール導入時に注意したい二つのポイントを解説します。

カジュアルな雑談を認める

在宅勤務に移行すると、同僚や上司との物理的な交流がなくなります。雑談や相談ができなくなり、孤独感や不安を抱える人が増えるでしょう。こうしたなかで重要視されているのが、チャットやWeb会議ツールによる『雑談』です。

『オンラインツールは仕事にのみ使うべき』と考えるリーダーもいますが、それがなくなってしまうと『自由なコミュニケーションの機会』が完全に失われてしまいます。心理的安全性が確保できず、生産性にも影響を与えるでしょう。

テレワーク導入時は仕事用のほかに、『雑談ルーム』を設けるなどして、社員同士の交流を促すことが大切です。

少しずつ導入、浸透させていく

オンラインツールは一度に導入するのではなく、社員の反応を見ながら段階的に使用していくのが理想です。

企業にはさまざまな年代の人が働いているため、すべてをテレワーク仕様に切り替えると、使いこなせずに取り残される人が出てきます。

結局、現場にツールが浸透せず、テレワークが非効率なまま進んでしまう可能性があるでしょう。

加えて、ツールの導入に際し、『マニュアル』や『ルールの整備』がきちんと行われていなければ、導入後は大きな混乱を招きます。まずは、本格導入の前に一定の『試用期間』を設け、使い勝手を検討してみましょう。

テレワークに必須のWeb会議ツール

『Web会議ツール』とは、音声通信やビデオ通信などのオンラインツールを指します。ファイルの送受信や画面の共有機能が搭載されたタイプもあり、リアルタイムに情報がシェアできるのがメリットです。

会議や朝礼に活用できる

Web会議ツールは主にミーティングや朝礼などに活用されます。ネットがある限りどこでも利用ができ、従来のテレビ会議のシステムと比べると安価に導入が可能です。

普段の業務連絡はチャットやメールで行い、週1回のミーティングはWeb会議ツールを使うという企業が多いようです。

Web会議ツールと似たものに『テレビ会議ツール』があります。

Web会議ツールは『クラウド型』と呼ばれ、クラウドサービスによって提供されるのが特徴です。サーバーの管理や運用はすべてクラウド側が対応してくれるため、管理に手間が掛かりません。

『オンプレミス型』と呼ばれるテレビ会議ツールは、専用機材を用意して、自社のサーバー回線を使用します。そのため費用は高くなりますが、その分安全性が高く、解像度の良い映像でお互いの状況を共有することができます。

雑談の機会は社員の状況を考慮した時間に

『オンライン飲み会』や『オンラインランチ会』などの雑談の機会を設ける場合は、時間設定に注意が必要です。

たとえば、小さな子どもを持つ社員の場合、オンラインであっても夜の時間帯は参加が難しいケースが多いでしょう。「夜は家族で過ごす時間にしたい」という人も少なくありません。

また、「プライベートな空間を会社の人に見られたくない」「わざわざ化粧をするのが面倒くさい」という意見も目立ちます。

この場合、参加を任意にし、誰もが参加できる『オンラインランチ会』に変えるなどの配慮が必要です。

全員が会話に参加しやすい工夫も必要

多くの社員が参加する場合は、全員が会話に参加しやすい工夫を考えましょう。

たとえば、大事な仕事のオンラインミーティングでは複数が同時にしゃべりだすと、話の内容が分かりにくくなります。司会者が発言者を指名し、発言者のみがマイクをオンにするのがベターです。

オンラインランチ会などの雑談の場では主催者が『トークテーマ』を決めて、事前に知らせておくとよいでしょう。1人1回は必ず発言ができる機会を設けるのがポイントです。

誰かが話をしているときは、OKやサムズアップ(親指を立てる)などのジェスチャーで話し手に安心感を与えましょう。

機能充実のビジネスチャット

『ビジネスチャット』とは、ビジネス専用のチャットツールのことです。代表的なものには『Chatwork』や『LINE WORKS』『Slack』などがあります。機能が充実しており、情報の共有がしやすいのがメリットです。

情報共有が円滑に進む

Web会議ツールよりも、ビジネスチャットの方が情報共有が円滑に進む場合があります。

話すのが苦手な人の場合、急に話を振られて考えがまとまらないこともありますが、ビジネスチャットであれば、伝えたい内容を考えてから文字にできます。

電話や口頭と違って記録が残るため、言った・言わないで揉めずに済むのもメリットです。

資料や画像を見せたい場合は画面を共有したり、ファイルを添付して送信したりします。PCはもちろん、スマホからも閲覧ができるため、外出先でもタイムリーに情報共有ができるでしょう。

また、ビジネスチャットには『ミーティング中』『外出中』『取り込み中』などの『ステータス機能』があります。相手の状態が把握できると、ためらわずに電話連絡ができるでしょう。

雑談ルームを設置しておく

ビジネスチャットでは、複数の『チャンネル』が作成できます。仕事用のチャットのほかに、『雑談ルーム』を作り、社員の自由なコミュニケーションを促しましょう。

真面目な社員の多くは『ビジネスチャットで雑談はしていけない』という認識を持っているため、上層部が『雑談ルームでは何でも話してOK』と許可を出す必要があります。

実際、雑談ルームには家族やペット、食事などの話題が書き込まれるようです。入退出は自由なため、仕事の合間の気分転換にもなるでしょう。

まとめ

テレワーク導入による社員同士の『コミュニケーション不足』が問題になっています。

対面とは違う環境に戸惑いを感じる人も多いですが、Web会議やビジネスチャットなどのITツールを上手に活用すれば、ほとんどの問題は解決できると言っても過言ではありません。

まずは、テレワークに向けた社内のルールやマニュアルを作ることが最初のステップです。自宅での孤独な作業で『テレワークうつ』といった症状に陥る人もいるため、オンラインで交流の場を設けることも検討しましょう。